ネイバーが株式の売却に応じるか否かに関係なく、LINEヤフーはネイバーとの技術協力を事実上全て終わらせる作業に入ったようだ。出沢氏は「ネイバーとの委託関係を順次終わらせ、技術面では協力の関係から独立する」「韓国ネイバーとつながっているネットワークも遮断し、ネイバーとの委託関係は今後ゼロになるだろう」述べた。LINEヤフーは今年約150億円を投資し、独自のネットワークとインフラを整備する計画だ。
取締役会のメンバーで唯一の韓国人だったシン・ジュンホCPOの取締役退陣も今回発表された。ネイバー出身の慎氏は13年前にLINEを日本に投入し、その後も運営の責任を担当してきた人物で、「LINEのアボジ(父)」とも呼ばれている。2022年に日本で最も多くの配当を受け取った上場企業役員になるなど、日本でサラリーマン神話を築いた企業経営者としても注目を集めた。シン氏も今回の決算説明会に出席し、出沢氏の隣に座っていた。個人情報流出の責任を取るための辞任と受け取られているが、ただし現在の職位(CPO)は今後も維持するという。出沢氏は「更迭とは受け取ってほしくない。セキュリティー強化の側面から社内取締役を減らし、社外取締役を増やす検討を行った結果だ」と説明した。しかし今後LINEヤフーの取締役会は全員が日本人となる見通しで、LINEヤフーに対する韓国の影響力は一気に弱まりそうだ。
ネイバーはこの日朝、本来予定になかった緊急の取締役会を招集した。LINEヤフーの発表内容について事前にネイバーと十分な調整が行われていなかったとも考えられる。ネイバー内部では「LINEヤフーによる『ネイバー排除』はすでに始まったのでは」との懸念も語られている。ネイバー出身のシン氏が取締役を退任し、株式もソフトバンクに譲渡するようになれば、LINEヤフーに対するネイバーの影響力は当然弱くなる。
問題はネイバーにとって選択の余地がほとんどないことだ。LINEヤフーの取締役会までがネイバー排除を求める今の状況では、ソフトバンクとの交渉で経営権譲渡によるプレミアム(割増金)を最大限受け取ることが実利にかなっていると判断するかもしれない。IT業界のある関係者は「LINEヤフーの経営においてネイバーの技術力は絶対的に重要だ。そのためネイバーとしては株式を売却した場合でもこの点を考慮し、十分な額を受け取ろうとするだろう」と予想した。ネイバーの崔秀妍(チェ・スヨン)社長は3日の決算発表会で「日本の総務省からの要求は非常に異例」とした上で「中長期的な事業戦略に基づいて決定すべき問題」との考えを示した。
韓国政府も状況を鋭意注視している。韓国科学技術情報通信部(省に相当)の李宗昊(イ・ジョンホ)長官は同日「韓国企業が海外事業や海外投資において不当な扱いを受けないことを最優先と考えて対応する」「ネイバーの意思決定を最大限保障するため、ネイバーとも緊密に協議を行っている」と明らかにした。
東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員、ファン・ギュラク記者