中国がこれまで自国の拘置所などに拘留してきた脱北民の強制送還を再開したとの証言が相次いでいる。証言を総合すると、強制送還された脱北民の数は数百人に上るようだ。
脱北民団体のキョレオル(同胞魂)統一連帯は2日「中国吉林省白山の拘置所から200人以上の脱北民が北朝鮮に強制送還された」「この情報は複数のルートから寄せられている」と明らかにした。強制送還が行われたのは先月26日ごろだという。
米政府系のラジオ自由アジア(RFA)も脱北民救出活動を続けるJM宣教会の話として「中国図們と琿春で逮捕され拘留されていた50-60人の脱北民が先月26日に北朝鮮に送還された」と報じた。中国はコロナ渦の3年間に2000人以上の脱北民を拘束したが、うち500-600人が昨年10月に杭州で開催されたアジア大会の閉会翌日に突然北朝鮮に強制送還された。その後は国際社会からの非難が相次いだため中断してきたが、今回6カ月ぶりに強制送還を再開したとみられる。外交関係者の間からは「中国と北朝鮮は今年修交75周年を迎え関係強化を進めているが、この点が影響したのでは」との見方が相次いでいる。
一方で米ホワイトハウスは2日「ロシアは今年3月の1カ月間に制裁限度以上の石油精製品を北朝鮮に輸出した」と発表した。ロシアは北朝鮮から弾薬やミサイルなどの提供を受け、その見返りに石油の供給を行っているが、ホワイトハウスはこの取引に対する警鐘を鳴らしたとみられる。
米ホワイトハウスのカービー戦略広報担当調整官は同日のブリーフィングで「ロシアはここ1カ月で16万5000バレル以上の石油精製品を北朝鮮に輸出した」「その量は国連安保理の対北朝鮮制裁違反に相当する」と指摘した。カービー調整官はロシアなどに対する新たな制裁も示唆した。国連安保理は2017年の第2397号決議に基づき、北朝鮮が石油精製品を輸入できる量を年間50万バレルに制限しており、また北朝鮮に石油精製品を輸出した国に対しては毎月30日までに前月輸出した量の報告を義務づけている。ロシアは今年3月の国連安保理で北朝鮮制裁委員会専門家パネルの任期延長に反対し、北朝鮮に対する制裁を事実上無力化した。
イ・ミンソク記者、ヤン・ジホ記者