【新刊】ファン・ウィジン著『抜け目なく、自然に』(バンビ刊)
「自撮り族」。「自分自身を撮る人」というこの単語の本意は、しばしばアンビバレントな視線にさらされる。目立ちたがり屋に対するしかめ面と、インフルエンサーに対する羨望(せんぼう)がその代表だ。
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著者は、こうした偏見の前で「女性たちはなぜ自撮りをするのか」という根源的な問いを投げかける。同じ年ごろの女性たちと違って写真を撮るのは嫌いだとし、外部観察者として一線を画する著者がまず注目したのは、1920年代、私的な外出が困難だった開化期の女性たち。彼女たちは、自分を撮ろうと思ったら女性専用の写真館を訪ねなければならなかったが、肝心の女性写真家は指で数える程度の少人数だったのだ。80年代、家庭内にカメラが普及した時期においても、シャッターの主はおおむね男性家長で、時折これを譲ってもらった主婦たちは「家族写真家」として振る舞った。
携帯電話のカメラが普及してからようやく、女性の自撮りが自由になり、2000年代におけるオンライン・ミニ・ホームページの登場は、自撮りに「自己演出」と「コミュニケーション」の自由を付与してくれた-というのが著者の主張だ。著者はまた、補正作業で「自然にキレイに見える写真」を追求し、「無断収集」の危険を知りつつも公開の空間に写真を載せる女性自撮り族の矛盾点を、このように解き明かす。「女性たちは、自己写真を媒介として『私』と『私たち』を発見していく」。276ページ、1万8000ウォン(約1990円)
ユン・スジョン記者