日本の「国民食」となったラーメン。そのラーメン業界が、日本銀行による今夏の「新紙幣発行」を前に悲鳴を上げていると東京新聞やテレビ朝日などが報じた。ただでさえ世界各地の戦争による小麦粉・卵などの原材料費高騰で閉店に追い込まれるラーメン店が増えている中、新紙幣用の券売機を更新するのに1台当たり100万円近く掛かるからだ。
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日本銀行は今年7月、1000円、5000円、1万円の各紙幣を新券に切り替える予定だ。これに伴い、店側は旧紙幣しか認識できない既存の券売機を新紙幣対応の新しい機種に交換しなければならない。交換費用は100万円ほど掛かると東京新聞は報じている。日本のラーメン店は会計用のレジカウンターがないケースが多く、クレジットカードが使えない店も多い。店に設置された現金専用の券売機に客が自分で現金を入れ、ラーメンの食券を買って注文するのが一般的だ。
日本銀行が新紙幣発行の方針を明らかにした2019年には予想できなかった「新紙幣リスク」が、苦境にあえぐラーメン業界にとって大きな負担になっているとラーメン店のオーナーたちは吐露する。東京でラーメン店を営む西谷寛さんは「コロナ前に比べてコストは1.5倍になったが、(券売機の更新費用に当たる)100万円の利益を出すためには、一日に100杯売れたとしても最低半年はかかる」と話した。
他の料理であれば、原価上昇分を価格に転嫁して対応できることがほとんどだが、ラーメンはそれが難しい。「1杯1000円以上は出したくない」という日本の消費者の強い思いがあるからだ。日本ではこのような不文律を「1000円の壁」と呼んでいる。こうした状況を受け、一部の地方自治体は零細店舗の発券機更新費用を補助することにした。東京都の葛飾区は7月から3カ月の間に申請すれば、発券機の更新費用を1店当たり最大30万円補助する。愛知県大口町も、1店当たり最大50万円の補助を決めている。
キム・ドンヒョン記者