SNSを使って感性を刺激…曺国の姿から文在寅が見える【コラム】

 左派特有の「感性売り」は、その効果が絶大だ。課題の論点をぼかさなければならないとき、一層輝きを放ち、結果として合理的な理性をまひさせる。朴元淳(パク・ウォンスン)元ソウル市長は2011年、政界入りを前に、長年履いてかかとがすり減った靴を公開して庶民イメージを構築し、市長に当選した。韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相は、違法政治資金授受の罪で懲役2年の刑に服した後も『韓明淑の真実:私はああいうふうに生きてこなかった』を出版し、今でも支持者らは彼女の無罪を主張する。大衆は、実体を知った後に「もうだまされるまい」と考えるが、それでもまた「感性売り」に心を奪われる。

 こうした心理は、曺代表が最もよく理解しているらしい。何度もSNS絶筆宣言をしながらSNSを手放さないのも、これと無関係ではない。野党関係者は「文・前大統領と曺代表の感性政治は、李在明(イ・ジェミョン)代表にはまねのできない、外見に漂い出る何かがある」と語った。曺代表は、子どもの入試不正疑惑で騒然とした中でも著書『曺国の時間』を出版し、自分が血を流しながら歩いている絵を載せたかと思えば、ジムで懸垂をしている動画をアップロードした。こうして支持者を集めた。与党側は「奇怪だ」「そんなことしてみたところで犯罪者ではないか」という声で攻撃した。保守の支持者は「いまだにこんな操作扇動に乗せられる人間がいるのだから、あちらはいつもこうした手法を使う」と批判した。

 しかし、祖国革新党は今回の総選挙で12議席を得た。曺代表は最近、ある次期大統領選ランナー選好度調査で7%の支持を得て3位に付けた。そして一部の野党支持者は自分たちの立場から、文在寅政権のナンバー2だったのにさまざまなさげすみを受けた曺代表に、文・元大統領の姿を見いだしている。曺代表は、子どもの入試不正および青瓦台監察もみ消しの罪などにより控訴審で2年の刑を宣告された。大法院(最高裁に相当)の判決次第で、曺代表の未来が180度変わることもあり得る。そのときまで、曺代表の感性政治は続くものとみられる。

 最近、盧・元大統領の生家がある烽下村を訪れた曺代表は、傘も差さずに雨に打たれながら、涙を拭っているのか雨を拭いているのか分からない写真を掲載した。支持者らはコメントで「盧大統領、ご覧になっていますか?」「代表、やりたいことは全部やってください。私たちは肩を組んで共にあります」と書き込んだ。

キム・アジン記者

【写真】理性よりも感性を刺激…文在寅前大統領と朴元淳元ソウル市長のSNS投稿に見る具体例

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