【ソウル聯合ニュース】韓国軍の将兵向け教材で独島を領土紛争地域と記述した問題で、教材が発刊される前に内部で同記述に問題があるとの指摘が出たものの受け入れられなかったことが明らかになった。韓国国防部が26日、監査の結果を発表した。担当局長ら4人に警告や注意の処分を科したという。
国防部が昨年末、部隊に配布した教材は中国やロシア、日本など周辺国に触れ、「釣魚島(日本名・尖閣諸島)やクリール諸島(北方領土と千島列島)、独島問題などの領土紛争も進行中」と記述していた。独島を尖閣諸島やクリール諸島と並べ、領土紛争が進行中の地域としたことは、領土問題は存在しないという政府の立場に反するとの批判が沸騰。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は厳しく叱責し、早急に是正するよう指示した。国防部は教材を回収し、この記述の経緯などを監査してきた。
監査結果によると、昨年4月28日に教材の草案が作成され、2回の諮問と1回の監修を受け、同年5月に行われた諮問で独島関連記述に問題があるとの意見が出された。国防部の国防精神戦力院は「独島は領土紛争地域ではなく、このような表現は必要ない」との見解を示し、陸軍も「領土紛争に対する正しい理解のため、説明が必要だ」との意見を出した。だが、国防部は「諮問・監修意見に関する十分な検討が行われなかったことを確認した」と説明した。
教材の朝鮮半島地図に独島が表示されなかった問題に関しては、「いかなる問題提起や検討もなかったことを確認した」と明らかにした。国防部は▼民間専門家なしに執筆陣全員が現役軍人中心で構成されたこと▼教材の最終版に対する適切な検討がなされなかったこと▼関係機関や外部機関からの意見収集が不十分だったこと――を理由に挙げた。
担当者を正式な懲戒ではなく警告・注意処分にとどめたことについては、法令に明白に違反していないことや、故意ではなかったこと、当事者らが深く反省していることなどを考慮したという。
だが、3カ月以上監査を実施したにもかかわらず将兵向け教材の発刊制度に関する十分な検討が行われず、責任者に対しても軽い処分にとどめたとの指摘が出そうだ。