韓国放送通信審議委員会(放審委)の放送審議小委員会は23日、脱北作家チャン・ジンソンさんの脱北女性性暴力疑惑を報じたMBC放送『ストレート』とMBC『ニュースデスク』に対し、法定制裁の「関係者懲戒」を決定した。
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韓国公共放送局MBCは2021年1月と2月の2度にわたり、「有名脱北作家チャン・ジンソン、彼にやられた…脱北女性の暴露」などのタイトルでチャンさんの性暴力疑惑を提起した。当時、『ニュースデスク』も関連内容を紹介した。放送直後、チャンさんはMBCを相手取って訴訟を起こした。大法院(最高裁に相当)は最近、チャンさんが性暴行の容疑などについて捜査機関から「嫌疑なし」の処分を受けた点を挙げ、MBCと担当記者はチャンさんに5000万ウォン(現在のレートで約560万円。以下同じ)を賠償せよと判決した。04年に脱北したチャンさんは北朝鮮の統一戦線部出身で、14年に出版した脱北手記『Dear Leader(親愛なる指導者)』が英米圏でベストセラーになった。放審委は同日の小委で、このような裁判所の判決などを根拠に、MBCの当該番組に対して「関係者懲戒」を決定した。
また放送小委は同日、ドイツ・モータース株価操作事件で金建希(キム・ゴンヒ)大統領夫人と母親の崔銀順(チェ・ウンスン)さんがおよそ23億ウォン(約2億6000万円)の収益を得たという疑惑を報じたMBCラジオ『キム・ジョンべの視線集中』に対しても法定制裁の「注意」を議決した。同番組を巡っては、今年1月にドイツ・モータース株価操作事件関連の検察総合意見書の内容などを報じたネットメディアの記者が出演し「金夫人が株価操作で巨額のカネを稼いだのはファクト」と発言するなど、裁判所で認められていない内容に基づいて一方の立場のみを報じた-という陳情が提起されていた。
放審委の決定は、行政指導に当たる「意見提示」と「勧告」、法定制裁に当たる「注意」「警告」「番組訂正・修正・中止し関係者懲戒」「課徴金」などに区分され、法定制裁は放送局の再許可・再承認時に減点要素となる。
申東昕(シン・ドンフン)記者