米国務省は、22日に発表した「2023 国別人権報告書」を通して、北朝鮮内部において政権側の不法・恣意(しい)的な殺人、強制失踪、拷問、児童労働など非人道的行為がはびこっていると指摘した。同報告書は「人権じゅうりんや腐敗をほしいままに行う官吏に対する処罰は行わず、問題になっている」「北朝鮮の統治、統制システムの特徴で、(過去1年間)人権状況に有意な変化はなかった」と記した。国務省は毎年、各国の人権状況を盛り込んだ人権報告書を発表しているが、北朝鮮の部分は昨年の内容とおおむね同じだった。
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報告書は、北朝鮮で体制批判者が「政治犯」と見なされ、大部分が終身刑に処されたり家族3代まで拘束されたりするケースが多い、と説明した。脱北者や内部の消息筋の話を引用し「脱北を試みたり脱北家族と接触したりする行為、金日成(キム・イルソン)または金正日(キム・ジョンイル)の写真が載った新聞を敷いて座ったり写真を損なったりする行為、金日成の学歴が低いことに言及する行為などを政治犯罪と見なしている」とした。政治犯および収監者の数については「外部の推定値は8万人から12万人の間で、一部の非政府組織(NGO)は約20万人とみている」と紹介した。しかも、政治犯は他の収監者よりも過酷な処罰を受けているという。殴打、水・電気拷問、裸体の露出、虐待や女性収監者に対する性暴行の実情なども暴露した。
報告書は「新型コロナのパンデミック(世界的大流行)後、公開処刑が減少したが、最近は国境封鎖緩和とともに再び大きく増加する様相を見せている」と指摘した。海外に脱出したものの強制送還された人々は、ほとんどが裁判を受けられず、家族には何の情報も提供されないまま「非司法的」に即決処刑される。北朝鮮は、民間人がこれを参観するよう強制し、公開処刑の参観が学校の現場学習として行われることもあった。
報告書は、エリザベス・サルモン国連北朝鮮人権状況特別報告者の話を引用し「2022年現在で2000人以上の脱北者が中国で拘束され、送還待ちとなっている」と記した。北朝鮮政権が家族などを動員して脱北者に帰還を迫り、外国政府を通して海外にいる北朝鮮住民らに不利な措置を取らせた-とも記述した。国務省の高官は、トニー・ブリンケン国務長官の訪中予定に言及しつつ「最高位レベルで、最も明らかなやり方で中国に人権問題を提起するだろう」と語った。
ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員