英国の経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は22日「韓国経済の奇跡は終わったのか」という見出しの企画記事で「安価なエネルギーと労働力に依存する韓国式の国家主導成長モデルはもはや限界」と分析した。同紙は▲大手メーカーに偏った成長モデル▲大企業と中小企業の格差拡大▲少子高齢化▲中国企業の追い上げ▲大手企業3世経営者の「現実への安住」-などを韓国経済危機の要因として挙げた。
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FTは「株式市場におけるコリア・ディスカウント、旧態依然のエネルギー産業など、解決すべき問題は山積しているが、今月投開票が行われた総選挙では政治のリーダーシップまで分裂し、今後経済が改善する可能性は見えてこない」と分析した。その上でFTは「左派が掌握した国会と人気のない保守系大統領率いる行政の間で政治のリーダーシップが分裂し、2027年の大統領選挙まで少なくとも3年以上はこの膠着(こうちゃく)状態が続く」と非常に悲観的だ。
これに対して韓国政府は説明用資料の中で「成長率下落を反転させるため労働・教育・年金の3大構造改革にまい進している」と反論したが、この主張は非現実的だ。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後の2年間、労働・教育・年金の改革は野党の壁に阻まれ何一つ成果を出せていない。総選挙で与党が多数議席を得ることが改革を進める唯一の方策だったが、結果的に反尹錫悦の流れを放置し選挙でも大敗してしまった。今後いかなる手段で山積みの改革課題に取り組んでいくのか。
海外メディアや外国人投資家は韓国経済の弱点はもちろん、政治の激しい対立も懸念材料と見ている。FTが指摘した韓国経済の問題点は決して目新しいものではなく、保守政権か革新系の政権かに関係なく、常に際限のない政争を繰り返し、問題解決を先送りしてきた結果もたらされた「慢性疾患」のようなものだ。
韓国経済は他国の新製品や新技術を素早くキャッチアップする「ファーストフォロワー戦略」により短期間で一気に成長した。しかし産業の高度化、中国経済の発展と競争の激化により韓国の経済成長も限界に達している。人工知能(AI)、ビッグデータ、自動運転などに代表される第4次産業革命の時代には創造性を持つ人材を中心に先導者(ファーストムーバー)にならなければ成長は期待できない。労働・教育・年金の規制改革は韓国経済の体質を改善し、若い世代のパワーを引き出すため必ず実現しなければならない。国会を掌握した共に民主党は古い考え方やポピュリズムから脱却し、人気が得られなくとも労働・教育・年金の規制改革の先頭に立ち、「ファーストムーバー大韓民国」を築き上げる道筋を見いだしてほしい。