半導体の輸出を除けば、過去1年間の月別貿易収支は全て赤字だ。韓国政府は貿易収支が昨年6月に12億ドルの黒字に転換した以後、今年3月まで10カ月連続で黒字を記録していると言っているが、半導体による一種の「錯視現象」と言える。
貿易収支が黒字転換した昨年6月も半導体収支を除けば24億3000万ドルの赤字だった。今年3月も半導体を含めると43億ドルの黒字だが、半導体を除くと16億3000万ドルの赤字で、昨年9月(11億ドルの赤字)にも及ばない水準だ。過去1年間は半導体を除くと、輸出の好調で貿易収支黒字が拡大する様子は見られなかったことになる。
現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「政府は輸出好調と言っているが、実態は半導体関連企業の好調だということだ」とし、「最近の輸出推移で景気が回復していると言うのは無理がある」と指摘した。
■ウォン安が物価刺激…内需低迷に懸念
ウォン安が輸出の伸びを促すプラス効果を発揮できず、むしろ輸入物価だけが上昇し、内需低迷につながりかねないという懸念も出ている。輸入物価が上がれば、国内の消費者物価も上がり、消費者が消費を減らす可能性が高い。また、中東危機の高まりによる原油価格の上昇は、物価の刺激要因に挙げられている。
ドバイ原油は17日、ニューヨーク商業取引所で1バレル=89.91ドルを付け、年初(1月2日・75.97ドル)に比べ18.3%上昇した。韓国の消費者物価上昇率は昨年12月の3.2%から今年1月には2.8%に低下したが、2月と3月は3.1%となり、2カ月連続で3%台を記録した。
韓国経済人協会のイ・サンホ経済産業本部長は「不安な国際原油価格の動きとウォン安は内需全般に悪影響を及ぼしかねない。政府の適切な対応策が求められる」と述べた。
キム・ヒレ記者、趙宰希(チョ・ジェヒ)記者