これまで読んだ本の中で最も面白かったものを尋ねられると、司馬遷の『史記』を上げた。ソン氏は「話の内容が全て感動的だった」と語る。特に面白かった部分を問う質問にソン氏は「もう一度よく考えると、私の読書ノートと答えたい」「読書ノートも最終的には一冊の本ではないか」と笑いながら答えた。
インタビュー集のある箇所でソン氏は「しんどくなることが即ち努力」と語っている。その意味についてソン氏は「しんどい状況が続くことは良い習慣ができることですよね。習慣は最初は薄っぺらいくもの巣のようですが、時間が過ぎれば鋼鉄のような鉄の棒になるからです」と説明した。常に内面を省察する求道者のような生活を送るソン氏。今の幸福を最も重視し未来に向けて準備しない「YOLO life」の考え方について問う質問にソン氏は「与えられた大切な命を、自分さえ良ければよいと考えてそんな無駄な生き方を…」とまで言ってしばらく言葉を選んだ上で「この世に生まれたなら、自分の家族にも前向きな役割を果たすべきだと思う」と述べた。
ソン氏はメディアのインタビューを受けるたびに必ず聞かれることがある。それは「ソン・フンミン選手はワールドクラスですか」という質問だ。息子のソン・フンミン選手は世界最高の舞台であるイングランド・プレミアリーグで得点王になるほどの実力を持つが、ソン氏は息子が傲慢(ごうまん)になることを恐れており、そのため常に「ワールドクラスではない」と答える。今回の会見でも最後に同じ話題になった。ソン氏は質問を最後まで聞く前に「ワールドクラスではないから」と笑いながら強調した。ソン氏は「ボールを蹴るのがうまいだけでは駄目だ。人格も備えねばならない」とも述べた。「人格が足りないという意味か」との質問にソン氏は「ソン・フンミンは人格だけでなくボールを蹴る実力ももっと高めねばならない」と畳みかけるように指摘した。このように言葉は厳しいが、顔には笑みが浮かんでいた。この「父親としての笑顔」だけはどうしても隠せなかったようだ。
イ・ヨンビン記者