韓国で医師不足などの対策として政府が発表した大学医学部の入学定員増に反発して研修医らが職場を離脱している中、京畿道城南市盆唐区にある総合病院呼吸器アレルギー内科のA教授(50代)が手術・治療を受け、韓国の「ビッグ5病院」(ソウル大学病院・ソウル峨山病院・セブランス病院・サムスンソウル病院・ソウル聖母病院)の一つに搬送されたものの、20日午前、集中治療室で死亡した。医学部教授の突然死は先月24日に釜山大学病院の眼科教授(40代)が脳出血で死亡して以来、2人目だ。病院側は「過労とは関係ない」との見解を明らかにしたが、医療界では「必須医療の最前線で働いていた医師(教授)が突然死した」との声が上がっている。
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医療関係者の間では20日、A教授の死に関する状況が書かれている交流サイト(SNS)のメッセージの内容が拡散された。投稿者は「教授は当直を務めていた時、腸閉塞(ちょうへいそく、食べ物や消化液などが腸を通らなくなる疾患)になって救急室に入ったが、腹膜炎(細菌感染で腹膜に炎症が生じる疾患)を発症して緊急手術を受けた。(その後)エクモ(体外式膜型人工肺)をつけて他の病院に転院したが亡くなったそうだ」と書いた。
大韓医師協会のノ・ファンギュ元会長は同日午後、フェイスブックの自身のアカウントに、拡散されているSNSメッセージの一部をスクリーンショットで撮った写真を載せ、「先日の(釜山大学)眼科教授の死去に続き、内科の教授がまた亡くなった。無理するな。何のために、誰のために無理していらっしゃるのか」と投稿した。ところが、ノ・ファンギュ元会長は夜10時ごろにフェイスブックに「ある現職内科教授の無念の突然死に対して、あまりにも悲痛に思う故人の以前の同僚からメッセージを受け取り、SNSでシェアしたが、故人の別の元同僚はこれが非常に不快だとおっしゃった。不快だという理由が気になるが、ご遺族も(投稿文の削除を)望んでいらっしゃるとのことなので、ひとまず削除した」と書いた。
病院側は、A教授の死は過労と関係ない、としている。病院関係者はA教授死亡の経緯について、「(死因を)『過労』と結びつけるのは全く正しくない。死因と経緯を公表しないでほしいというご遺族の要請があった」と述べた。また、別の病院関係者は「(A教授が)集中治療室で死亡したのは事実だが、医学的に回復が難しい危篤状態だった」と説明した。
釜山大学病院眼科教授が先月、脳出血で倒れて死亡した原因が過労などの業務と関連していたかどうかは確認できていない。しかし、この眼科教授は研修医の集団離脱以降、外来診療・当直・救急患者の手術などを行い、周囲に疲労を訴えていたことが伝えられたため、医療界では「今回も当直をしていて『過労』のために倒れたのではないか」という声が上がっている。
オ・ユジン記者