韓国各地では今日も、駐車を巡るトラブルがあちこちで起きている。韓国国民権益委員会によると、私有地での違法駐車に関する民願(苦情)は年間2万-3万件ほどあるという。過去10年で民願の件数は150倍以上も急増した。二重駐車(もともと駐車してあった車の前や横に駐車すること)、駐車ラインを踏んでの駐車、障害者用スペースへの健常者の駐車など、口論から暴行に発展することもある。マンション、ヴィラ(低層集合住宅)、商業ビルなどでこのようなトラブルが起きた時、確実な対応方法がないため、迷惑をかけられた方が「お前も一度被害を受けてみろ」とやり返す。先月には、日常的に駐車ラインを越えて事実上2台分のスペースを占領していたベンツ車に対し、別の車のオーナーが「懲らしめてやる」とベンツの運転席ドアが開けられないよう真横にピタリと駐車し、その写真をネットに投稿した。トラブルの発端はベンツ車の迷惑駐車だったが、このケースは「報復駐車」をした車の方が処罰を受ける可能性がある。裁判所は類似の事件について、車は損傷していないものの一時的にでも車を使えない状態にして害を与えたとして、報復駐車をした方の車のオーナーに罰金50万ウォン(約5万5000円)を科した。
韓国の道路交通法は、駐車禁止区域に車を停めた場合、警察官や市・郡の公務員が車の移動を命令できるよう規定している。しかし、建物内部・外部の駐車場や路地などは道路交通法上の道路に当たらないため、警察や地方自治体が取り締まりやレッカー移動などの措置を取ることができない。このため権益委は数年前、私有地の違法駐車にも反則金やレッカー移動の措置を可能とすべきとの見解を示した。しかしこれは勧告レベルにすぎない。
国会でも、強制レッカー移動を可能にし、その過程で発生した損害について故意・重過失ではない場合は免責とする「駐車場法一部改正法案」などが発議された。しかし、議会では可決しなかった。最大野党「共に民主党」は今回の総選挙の公約に「駐車悪党強力処罰法」の制定を掲げた。しかし、大林大学未来自動車工学部の金必洙(キム・ピルス)教授は「最も重要なのは、運転者の市民意識を向上させるための教育・啓発的アプローチ」だと指摘した。先日、ある1枚の写真がインターネットで話題になった。マンションの駐車場に、キックボードや補助輪付き自転車、子ども用電動車などが駐車ラインをまたぐことなく整然と並べられていたのだ。怒り散らしてばかりの非常識な大人たちは、この風景を見て目を覚ましてほしい。
キム・アジン記者