先日、蔚山市にあるHD現代重工業造船所の迎賓館に、溶接工など同社の外国人技能工が42人招かれ、多くのもてなしを受けた。造船業界で世界トップの技術力を誇る一つがプラズマ自動溶接などの特殊溶接技術だ。
【グラフィック】「韓国人お断り」 韓国国内の外国人専用レストラン
二つの金属物体をつなげて一つにするのが溶接だ。携帯電話、マンション、自動車、船舶、飛行機から最先端の宇宙船に至るまで、産業全般のルーツとも言える技術だ。溶接の歴史は金属の歴史と同じくらいに長い。紀元前3000年ごろ、青銅器時代にシュメール人たちがはんだ付けでつないで作った刀が発掘された。火の中に鉄鉱石を入れて軟らかくした後、ハンマーでたたいてつなげた最初の鍛造溶接だ。1801年、英国の科学者ハンフリー・デービーがバッテリーを利用して二つの炭素棒の間で火花が起きることを示した。この時から電気溶接の研究が始まった。19世紀半ばにはさまざまな溶接技術が開発され、第1、2次世界大戦を経て軍艦の建造などが容易となった。
溶接工は韓国の経済成長には欠かせない産業の担い手だ。1971年に始まったソウル市瑞草区盤浦洞のマンション建設現場は、大規模な溶接工の訓練所に他ならなかった。ラジエーターに温水を循環させて温める仕組みだった。隙間があれば水漏れするため、細心の注意を要する工程となった。鄭周永(チョン・ジュヨン)会長が造船業に参入した際、周りからは「無謀」と言われたが、鄭会長は発想の転換を図った。「造船だからと言って、工場建設と何か違いがあるわけではない。鉄板を切って溶接し、エンジンを積み上げる仕事だが、建設現場でやってきたことではないか」(故・鄭周永会長の自叙伝『試練はあっても失敗はない』)
1970年代には、韓国初の産業用ロボットが導入されたが、溶接用ロボットにほかならなかった。現代自動車蔚山工場で「ポニー」を造る際、スポット溶接用のロボットが人間に取って代わり始めた。1984年、現代グループに先端ロボット事業チームが立ち上げられたが、ほかでもない溶接のため、現代重工業へと配置された。造船業に飛び込み、溶接工を育てるため、総力戦を繰り広げた経験のある故・鄭周永会長が「溶接需要が多い造船所でロボット事業を手掛けるのがいい」と判断したのだ。今日、船舶の建造における溶接の自動化はかなり進んだ。それでも繊細な作業では熟練した溶接専門人材の判断と経験が欠かせない。
造船業における人手不足が深刻化し、ベトナムやインドネシアなどから溶接工を連れてくる。いざ韓国の若者たちは3D職種(日本の3K労働〈きつい、汚い、危険〉に相当)を避けており、ごく少ない若い溶接工でさえ、技能人材を優遇するオーストラリアなどへの移民を夢見ている。熟練した技能人材が社会的に認められる社会になってこそ、このような人材のミスマッチも減るだろう。
姜京希(カン・ギョンヒ)記者