【新刊】スーザン・ニーマン著、ホン・ギビン訳『Wokeは左派ではない』(思考の力刊)
「本書は、皆さんの目を鈍らせてくれるでしょう」。ドイツのある出版社は、こんなPRコピーを付けて炎上した。目が見えない人を傷つけかねないとして反発が起き、出版社は結局、広告を取り下げねばならなかった。
【写真】映画『破墓』監督「反日・左派の映画? 同意できない」
道徳哲学者の著者は、「woke」がどれほど「滑稽で、恐ろしい」存在か、事細かに批判する。「woke」とは「目覚めている」という意味で、不正義に立ち向かって覚醒している状態を意味したが、最近では過剰な政治的正しさ(ポリティカル・コレクトネス、PC)をあざける単語として使われる。著者は、wokeが、普遍主義や進歩に対する信頼のように左派が追求すべき理想を捨ててしまい、小さな目標にばかりこだわっている-と語る。
かつて世界人類の団結を叫んでいた左派が、今では人種・性別・地域などのアイデンティティーを掲げて「部族主義」へと旋回している、という指摘も興味深い。著者は、さらに進んで、憤怒と落胆でぎっしりの社会に必要な哲学的なアイデアを提示する。核心を突くシャープな文章で満ちていながらも、変化に対する希望を手放していない。296ページ、1万9000ウォン(約2110円)
ペク・スジン記者