■毎回問題点を突き止める韓国、国際化に執着する韓国
最近、初の韓国語による書籍を出版したことで、さまざまなインタビュー要請、およびテレビへの出演依頼を受けているマーシャルさんは、どこへ行っても韓国人から同じような質問をされるという。韓国の問題点と国際化の方法についての質問だ。韓国に来る前は、どんな国に対しても批判することは良くないことと思っていたが、韓国人はこれをよく受け入れると語る。
国際化については、もう少し深く考えるよう勧める。マーシャルさんは「多くの韓国人が国際化に執着している。国際化するとは一体どんなことなのか。国際化をあまりにもいいことだと思っているが、全ての事柄には長所と短所が付き物だ」とし「正直に言うと、韓国は国際化できないと思う。そして国際化する必要もなさそうだ」と語る。ありのままの韓国を受け入れるのが国際化といった助言だ。
マーシャルさんにとって一番のお気に入りの建物は「世運商店街(セウンサンガ)」だ。国内初の住商複合マンション団地として1967年に建てられた世運商店街は、年々老朽化が進んでおり、韓国の若者にとってはなじみのない場所だ。マーシャルさんは、世運商店街に何度も足を運んだだけではなく、建築家の故キム・スグンさんについても知っており、外国人の友人が訪韓した際は必ず連れていく観光スポットだという。また、「世運商店街は外国人の立場からすると本当に興味深い。韓国の近現代史がそのまま残っている所」とし「最近オープンした新しい飲食店の横に50年以上も続くカフェがあり、真向かいの商店街には数十年間コンピューターを修理している職人さんがいる。まるでタイムマシンに乗っているかのような気分だが、こんな建物は海外では見た試しがない」と興味深げに話す。
さらに、「韓国文化をより多くの人々に知らせるためには、韓国にしか存在しない部分に集中してほしい」と付け足した。マーシャルさんは「景福宮も徳寿宮もいいが、高麗時代や朝鮮時代の歴史についてよく知らない人々にとっては、ただの伝統建築物に過ぎない。ソウル市江南区にも何人も連れていったが、米国や英国の繁華街と変わらなかった」とし「私の外国人の友人たちが故郷に帰って以降も言及する韓国の観光スポットは、鍾路の古い通りと屋台、広々とした地下歩道」と話す。特にマーシャルさんが住んでいたロサンゼルスは雨もあまり降らず、いい天気に恵まれているため、地下歩道が発達せず、ほとんどの米国人は地下道を通ることに「なぜ」と疑問を抱くという。
マーケティングにおける韓国語の使用も積極的に勧めた。外国人の目には韓国が本当に珍しくて美しいと感じるという。マーシャルさんは2年前にカナダを訪問した際に見た現代自動車の広告が今も忘れられないという。韓国語の「ワ」を活用した自動車広告だったが、本当に新鮮に感じられ、周りの外国人にもいい印象を与えていたという。また「韓国語を初めて学んだ2000年代は、韓国語を学びたくても学べる機関がさほど存在しなかったが、最近では少し増えたようだ」とし「政府レベルで言語マーケティングに力を入れるのも悪くない」と語った。
■韓国の社会的問題は他国のケースで解決できず…「韓国らしい解決策を見いだすこと」
マーシャルさんは、韓国社会の問題について韓国だけが抱いている問題と捉える理由が分からない、ともどかしさも口にした。次いで「多くの韓国人が否定的に考える他人と比較する文化は世界のどの国に行っても存在する。事実、他人と比較する文化だけを見れば米国の方がよりひどいと思う」とし「米国にもカーダシアン・ファミリーのファンが非常に多く存在し、彼らのように見えを張ろうとする人々も多い」と言う。カーダシアン・ファミリーは豪華でぜいたくな生活を通じ、米国で人気を得た一家だ。
また、「他国の文化と言語について多くの関心があり、約20近くの国々を歩き回ったが、他人と比較する文化の存在しない国などどこにも存在しなかった」とし「人間は社会的存在であり、本能的に他人と比較しようとする性質を抱いている。なぜ韓国だけがそう(他人と比較する文化が激しい)に違いないと思っているのか」と疑問を投げ掛けた。
少子化問題と高い自殺率も、何も韓国だけが抱える問題というわけではないと指摘した。二つの問題は関連性が深く、明らかに深刻な問題だが、全世界の先進国が普遍的に経験している現象だというのだ。マーシャルさんは「逆説的にも韓国人だけが簡単に認めようとはしないが、韓国はすでに先進国であり、今経験しているほとんどの社会問題は普遍的に先進国で見受けられる問題だ」とし「韓国人は社会問題が発生した際に、他の先進国の政策をまねようとするが、全く違う社会の政策が韓国に合うわけがない。韓国ならではの解決策が必ず見つかるはず」と強調した。
マーシャルさんは、韓国で就職をしたことも学校に通ったこともないため、目上の人との関係をはじめ、さまざまな韓国文化を理解するのに限界があることを認めた。その上で、今後はより多くの職業群に属する韓国人に出会って、彼らの話を聞きながら、韓国をもっと理解したいと言う。さらに「ここで暮らしながら不幸に思える韓国人たちにも出会ったが、何か常に生産的なことをしなければならないという強迫観念の中で暮らしていた」とし「韓国社会は、全ての人々に同じことをしろと強要するべきではない。個々人も各自が本当にやりたいことに集中すれば、より幸せな社会になるのではないかと思う」と語った。
ミン・ソヨン記者