『帝国の慰安婦』朴裕河名誉教授、破棄差戻し審で無罪判決…10年を経て「名誉毀損に当たらない」

 ソウル高裁刑事8部(裁判長:金載昊〈キム・ジェホ〉部長判事)は12日、著書『帝国の慰安婦』で日本軍慰安婦被害者らの名誉を毀損(きそん)したとして起訴された朴裕河(パク・ユハ)世宗大学名誉教授の破棄差戻し審で無罪を言い渡した。これは、大法院(最高裁に相当)が昨年10月に無罪の趣旨で差戻しを行った判決を反映したものだ。これで朴名誉教授は、告訴されてから9年10カ月ぶりに、この事件についての司法手続きが事実上終了した。


【写真】慰安婦ハルモニたちと会った朴裕河教授(2013年11月30日)

 裁判は「大法院判決以前の二審で有罪と認められた各表現は、学問的主張または意見と評価するのが妥当」とし、「名誉毀損とは認め難い」とした。

 『帝国の慰安婦』が出版されたのは2013年8月。慰安婦被害者のハルモニ(おばあさん)たちは翌14年6月に、朴教授が自分たちを「自発的売春婦」などと中傷したとして告訴した。検察は、書籍に出てくる「慰安婦の自発性」「強制連行否定」等の表現35件が名誉毀損に該当するとして、15年11月に朴教授を起訴した。

 一審は「朴教授の見解についての判断は裁判ではなく学問の場で行われるべき」として無罪を言い渡した。だが控訴審は「表現11件が虚偽事実であって名誉毀損」だとし、罰金1000万ウォン(現在のレートで約111万円)を言い渡した。大法院は、破棄差戻し審と同趣旨の判断を行い、「学問的研究結果の発表に用いられる表現の適切さは、刑事法廷で究明されるよりも、自由な公開討論等を通して検証されることが望ましい」とした。

 朴名誉教授は、裁判を終えた後、「まだ民事訴訟二審が進んでおり、きょうの無罪判決は半分という思いがある」としつつ、「無罪になった『自発的売春婦』等の表現は、そういう表現を用いる者たちを批判する趣旨で使用したもの」と語った。

イ・ミンジュン記者

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  • ▲朴裕河・世宗大学教授が22年8月31日、ソウル市中区のプレスセンターで『帝国の慰安婦』訴訟関連の現況と韓日懸案緊急提言について記者会見を行っている様子。/写真=ナム・ガンホ記者

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