韓国 きょうのニュース(4月11日)

◇与党惨敗 尹大統領「難局打開」へ変化不可避か

 総選挙(定数300)で保守系与党「国民の力」が惨敗し、任期3年を残す尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は厳しい政権運営を強いられることになった。この2年間の政権運営に対する国民の評価は冷ややかで、国会で野党が過半数を占める「ねじれ」の解消はおろか、憲法改正をかろうじて阻止する程度の議席獲得にとどまった。難局を打開するためには「垂直的なリーダーシップ」「不通(コミュニケーション不足)」などと指摘される尹大統領のスタイルにも変化が必要となりそうだ。

◇与党トップの韓東勲氏が辞任表明 総選挙惨敗で引責

 国民の力トップの韓東勲(ハン・ドンフン)非常対策委員長は、総選挙で惨敗した責任を取って辞任すると表明した。韓氏はソウル市内の党本部で記者会見を開き「民意は常に正しい。国民から選ばれるに足りなかったわが党を代表して国民におわびする」と謝罪した。また、民意を重く受け止め、深く反省するとして「選挙結果に対する全ての責任を負い、非常対策委員長から退く」と明らかにした。

◇最大野党代表「国民の偉大な勝利」

 革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、総選挙圧勝について「党への支持と声援に心から感謝申し上げる」としながら、「党の勝利でなく、わが国民の偉大な勝利」とたたえた。共に民主党は単独での過半数議席の維持を目標に今回の総選挙に臨み、系列の比例政党を合わせて175議席を獲得した。

◇曺国氏の新党 最大野党と「協力しながら競争」へ

 総選挙で圧勝した共に民主党と、曺国(チョ・グク)元法務部長官が結成し、比例代表で躍進した「祖国革新党」が来月開会する国会でどのような関係を結ぶかに関心が集まっている。政界関係者によると、祖国革新党は共に民主党との合併には一線を画しており、両党は尹錫悦政権を審判するという共通基調の下で「協力しながら競争する」との見方が出ている。対与党強硬路線を鮮明にしている祖国革新党は立法の重要局面でキャスティングボートを握り、共に民主党に協力するとみられる。

◇野党の重鎮・沈相ジョン議員 政界引退へ

 革新系野党「正義党」と「緑の党」が結成した選挙連合政党「緑の正義党」の沈相ジョン(シム・サンジョン)国会議員は、総選挙で落選したことを受け、政界からの引退を表明した。沈氏は2004年に民主労働党(当時)から比例代表で出馬し、国会議員に初当選。その後も3期にわたり議員を務め、大統領選挙にも複数回挑戦した。今回の総選挙で5期目に挑戦したが落選に終わった。

◇総選挙で与党惨敗 医学部定員増への影響は

 総選挙が与党の惨敗に終わったことで、政府が推進する大学医学部の入学定員増員にどのような影響を及ぼすか注目される。政府は立法の必要がない医療改革を強行し、一斉に職場を離脱した研修医に対する行政・司法手続きに着手することもできるが、選挙での惨敗を受けて当分は融和策を続ける可能性が高い。医療界との対話を成功させる鍵は、医学部定員増員の全面白紙化に固執する人々を説得し、妥協案を提示できるかにかかっている。医師出身の国会議員8人が仲裁役に乗り出す可能性があるとの見方も出ている。

◇総選挙の最終投票率67.0% 32年ぶり高水準

 中央選挙管理委員会は総選挙で有権者4428万11人のうち2965万4450人が投票し、最終投票率67.0%を記録したと発表した。最終投票率は前回2020年の総選挙(66.2%)より0.8ポイント高く、1992年の総選挙(71.9%)に次ぐ高さとなった。期日前投票の投票率が高かったことや、国民の力と共に民主党の2大政党が互いに対して「審判が必要」と主張し支持獲得に力を入れた結果、選挙に対する関心が高まったためとの見方が出ている。

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