■ソウル-釜山間をわずか20分で
技術的限界にもかかわらず、世界各国の大学や企業は真空状態を維持する技術の研究に没頭したことで、最近少しずつ成果が見え始めている。中国航空宇宙科学工業グループ(CASIC)が開発したハイパーループ「T-フライト(Flight)」は最近、試験運行で時速623キロの新記録を打ち立てた。今回の試験は2キロを走行したもので、比較的短距離である。CASICは、次は60キロの距離を時速1000キロで走る実験を実施する予定だ。CASICの関係者は「究極的に超高速旅客機であるコンコルドに準ずる時速2000キロで走行させる計画」と話した。
カナダのベンチャー企業であるトランスフォードも時速1000キロで走行する「フラックス・ジェット(FluxJet)」を現在開発中だ。乗客54人、または貨物10トンを積んでチューブの中をまるで飛行するかのように高速状態で走行する。磁石の押す力と引く力で空中に浮いたまま移動する。同社は2035年までに180億ドル(約2兆7000億円)を投じてカナダの主要都市のエドモントンとカルガリーを結ぶ300キロの路線を建設することを夢見ている。トランスフォードは「飛行機より40%も安く、二酸化炭素の排出量も63万6000トン減らすことができる」と説明している。
ドイツのミュンヘン技術大学は直径4メートル、長さ24メートルのコンクリートチューブを開発し、目下試験中だ。これまで耐久性の高い鉄のような素材を使用していたが、相対的にコスト高が目立った。ドイツのミュンヘン技術大学は、大きな圧力差に耐えるコンクリートを利用することでコストダウンに成功すれば、ハイパーループ・インフラの拡張に役立つと見ている。韓国では、韓国建設技術研究院がコンクリート素材によるハイパーループ・チューブを開発中だ。
テック業界は、ハイパーループが未来人類の生活を画期的に変えるものと期待している。時速1000キロでの走行が実現すれば、ソウルから釜山(直線距離で約320キロ)までわずか20分に短縮される。線路と列車間の摩擦が存在しないため、騒音も減る。韓国建設技術研究院のペク・チョンデ博士は「理論的に見れば、韓国では全国を30分以内に移動することができるほか、国境を接する国々では飛行機よりも速く数十分以内に移動できるようになる」とし「世界中の人々を素早く連結する未来の交通手段となる」と期待を寄せた。
柳智漢(ユ・ジハン)記者