KTXやSRTなどの高速列車で「無賃乗車」が巧妙化している。翌日の乗車券を購入することで、あたかも日にちを勘違いしたかのように装ったかと思えば、一部の無賃乗客は到着地までトイレに隠れてしまうこともある。自主的に名乗り出た場合、運賃の2分の1だけを支払えば許されるという制度を悪用しているとの声もある。
【写真】SRTの障害者席で段ボールを敷いて横になっている乗客
最近あるオンライン・コミュニティーに「無賃乗車の方法」を説く書き込みが掲載された。あるユーザーは「わざと違う日の乗車券を購入しておき、列車には今日搭乗する。運良く乗務員に出会わなかったら乗車券を払い戻しすればいい」とし「万が一不正乗車が明るみに出ても、あくまで日にちを間違えたふりを決め込むだけ。現場では今日乗った分の半額だけを支払えば済むこと」と書き込んだ。
韓国鉄道公社(KORAIL)とSRTの運営会社、SRにおける列車内での無賃乗車は、毎年数十万件に上っている。不正乗車が摘発されても運賃の2分の1だけを支払えば済むため、「バレても請求額は50%」と腹をくくって搭乗するのだ。
昨年までの5年間で、長期休暇期間中に摘発された不正乗車件数は約6万件に上った。2018年から23年2月までの長期休暇では、KORAILの不正乗車摘発件数が4万1923件、SRTは1万7623件だったことが分かった。これにより徴収された運賃は、KORAILが10億5900万ウォン(約1億1800万円)、SRTが2億440万ウォン(約2290万円)で、計12億6340万ウォン(約1億4140万円)だ。
鉄道事業法第10条によると、乗車券偽造の疑いがある場合や不正乗車の意図があると判断された場合、最大で30倍の追加運賃を支払うよう定めているが、自主的に申し出たり、予約日が異なる乗車券を所有していたりした場合、従来の運賃の50%だけを支払えば済む。不正乗車の意図があったとしても、乗客が「日にちを間違えた」「時間を間違えた」などと釈明することで、通常運賃の50%だけを支払えば済んでしまう。
KORAILの乗務員は「乗客が乗車日を勘違いした場合、顧客サービスの次元から罰金の請求ができないことがよくある」という。
ネット上には、すでに「無賃乗車をする方法」について説明した無数の書き込みが存在する。これらの書き込みには「乗務員が不正乗車した乗客を摘発することはよくあるが、誤って乗車したと言えば50%にも満たない自由席の運賃で許してもらえることも多々ある」とし「運良くバレなければ、無料でソウルから実家まで帰れる」と書かれてあった。
乗車率がピークを迎える長期休暇の期間は、乗車券を購入する需要は高まりを見せるものの、運航列車の本数が十分でないため、不正乗車が猛威を振るっているとの見方もある。SRTの関係者は「需要に合わせるために、新たに列車を14本発注したが、現場へ配置されるのは早くとも2027年の予定」と述べた。
KORAILは、不正乗車を厳しく取り締まっていくとの立場を示している。KORAILの関係者は「不正乗車によって快適な鉄道利用が妨げられることがないように、不正乗車時の運賃支払いを拒否した場合は法的に訴えたり民事訴訟を起こしたりするなど、不正乗車の予防と取り締まりに力を注いで行く方針」と明らかにした。
チョ・ヨンウ記者