出国禁止解除の前国防相 大使として豪に出国=韓国

【ソウル聯合ニュース】韓国で昨年発生した水害の行方不明者を捜索中だった海兵隊兵士の殉職事件に絡み、国防部長官時代に捜査に圧力をかけたとして職権乱用の疑いで捜査を受けていた李鐘燮(イ・ジョンソプ)駐オーストラリア大使が10日午後、同国に出国した。

 李氏は2022年5月の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足後から23年10月まで国防部長官を務めた。李氏は在任中に海兵隊兵士の殉職事件に関し、警察に送られた海兵隊捜査団の捜査記録を回収するよう指示したとして、職権乱用容疑で高位公職者犯罪捜査処に告発されている。

 今月4日に駐オーストラリア大使に任命されたが、同事件に絡んで出国が禁じられていたことが分かり、議論を呼んだ。

 李氏は5日に出国禁止措置の解除を求める異議申し立てを行い、法務部は8日、出国禁止措置を解除した。法務部は李氏が当局の事情聴取を受けたことや、本人が捜査に積極的に協力する意向を示したことなどを考慮したと説明したが、事件の被疑者を出国させ捜査に支障を及ぼしたとの批判が出ている。

 仁川国際空港では李氏の出国を阻止するため、最大野党「共に民主党」の関係者らが駆けつけたが、李氏の姿は確認できなかった。同党の洪翼杓(ホン・イクピョ)院内代表は空港で、「尹錫悦大統領は重大な犯罪容疑がかけられている李前国防部長官を外交官として海外に逃避させた」と批判。外交部長官や法務部長官らを職権乱用や捜査妨害などの容疑で告発する方針を示した。

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