【ソウル聯合ニュース】韓国政府が医学部を持つ全国40の大学を対象に実施した医学部定員需要調査の締め切り翌日の5日、医学部の教授らは退職届を提出したり頭を丸刈りにしたりするなどして定員増に抗議した。政府が医師不足解消のため打ち出した大学医学部の定員拡大方針に反発する研修医の職場離脱が15日間に及び、現場に残った医療スタッフは疲弊し、患者の不便が続くなど医療の混乱は次第に拡大している。2日間にわたり病院の現場点検を行った政府は、研修医約7000人が職場に復帰していない証拠を確保したとして、行政・司法手続きを急いでいる。
◇計3401人の医学部定員増申請 教授ら反発
医学部のある全国の40大学は政府が計画する同学部の増員数(2000人)を大きく上回る計3401人の定員増を申請した。だが、教授らはこのような方針に反対している。
江原大では医学部教授がこの日、大学側の増員方針に反対するとして、校内で頭を丸刈りにする抗議のパフォーマンスを行った。
一部の教授はSNS(交流サイト)で辞職する意向を明らかにしたり、退職届を提出したりした。
忠北大病院の教授はSNSで、職場を離脱した同僚たちと一緒に働くことができないなら病院に残る理由がないとして、辞職するつもりだと伝えた。
慶北大病院の教授も「泣いている子どもの頬を殴るようなもので、政府は脅迫ばかりしている」として辞職する意思を示した。
医学部の増員申請規模が公開され、研修医に対する行政・司法手続きが現実化する中、全国の大学医学部と大学病院は教授の集団行動の可能性に神経をとがらせている。
政府は全国の病院を対象に2日間にわたり現場点検を行っているが、依然として研修医の多くが職場を離れた状態だ。
主要大学病院や総合病院で働く予定だったインターンやフェローなどと呼ばれる専任医の辞退も相次いでいる。
◇医師の離脱15日目 患者の被害と医療スタッフの疲労重なる
研修医の職場離脱が半月にわたり続くなか、現場に残る医療スタッフの疲労は蓄積し、診療や手術の先送りなどによる患者の被害も続いている。
ソウル大病院で前立腺がんの治療を受け、2週間前に退院した50代の患者は、血尿が出て救急車を呼んだが、診察できないとして車内で3~4時間待たされたという。
その他の病院の救命救急センターも患者の受け入れを制限している。研修医のうち94%が離脱した済州大病院は今週中に看護・介護サービス統合病棟を統廃合し、内科の集中治療室の病床数を20床から8床に縮小する計画を立てた。
◇政府 離脱医師の免許停止を本格化
保健福祉部は、全国の主要100病院を点検した結果、4日午後8時の時点で新規インターンを除くレジデント1~4年目の9970人のうち8983人(90.1%)が勤務地を離脱したと発表した。
政府は書面報告を受けた50の病院について現場点検を行い、医師が業務開始(復帰)命令に違反したことが確認され次第、免許停止手続きを進める計画だ。
政府が5日に開いた中央災難(災害)安全対策本部の会議では、研修医約7000人が復帰していないことを示す証拠を確保し、医療法に基づき行政処分を行うことを決めた。
保健福祉部の朴敏守(パク・ミンス)第2次官は、同日までに現場点検を行った100カ所の病院以外に対しても地方自治体が現場点検を行うとして、「政府は最悪の状況に対応できる非常診療体系を構成している」と述べた。