「半導体戦争」司令部の運命を分ける韓国総選挙【コラム】

 ラピダスのプロジェクトには少なくとも5兆円が必要だが、日本政府がまず1兆円をつぎ込む。TSMC熊本第1工場には最大4760億円、第2工場には最大7320億円の補助金を支給する。「政経癒着」と言ってもこれといった反論ができない。台湾と韓国は今の日本が恐れる「政経ワンチーム」の歴史を持っている。台湾で経済閣僚を努めた実力者、李国鼎氏は1985年、中国系米国人のエンジニア、張忠謀(モリス·チャン)氏に「台湾の半導体産業を育てたい。いくらカネが必要か」と尋ねた。TSMC設立資金の48%は台湾政府が出したが、それでも資金が足りなかった。企業経営者に「これまで政府が世話してきただろう」と電話をかけた。協力要請を装った脅しで金庫が埋まり、TSMCが発足した。

 不屈の企業家精神と朴正熙(パク・チョンヒ)、全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)各大統領の全面的な支援があったからこそ、今の韓国の半導体産業がある。米国では兵器の正確度を高めるため、真空管の代わりに半導体を搭載しようとした米国防総省(ペンタゴン)が業界を急き立てたことが半導体発展のきっかけになった。米国は現在、半導体補助金を空からばらまいており、中国では政府と企業を区分する意味がない。

 韓国が「政経癒着」という「言葉の制約」にがんじがらめになる間、米国、日本、台湾は「政経ワンチーム」でそれを打破し、「半導体戦争」に参入している。半導体戦争の司令部は政府と議会、そして企業だ。既に韓国の司令部は一部が砲撃で崩壊しているが、司令部となる将軍や部隊のどこからも進撃のスローガンが聞こえない。「チップウォー(ChipWar)司令部」の運命を決める韓国総選挙は4月に迫っている。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者

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  • ▲台湾積体電路製造(TSMC)は2月24日、熊本県に新工場を開設した。写真は新工場のすぐ横のキャベツ畑で収穫作業を行う農家の人たち/成好哲(ソン・ホチョル)東京特派員

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