曺国(チョ・グク)元法相が、4月の総選挙を前に急造した「祖国革新党」の代表になった。彼は「過去5年間、家族全員が屠殺(とさつ)される状況に耐えねばならなかった」とし「検察独裁の川を渡らねばならない」と主張した。彼は入試不正や監察もみ消しなどの罪により一審に続いて控訴審でも懲役2年の実刑を言い渡された。ソウル大学のインターン証明書偽造など入試不正の嫌疑7件のうち6件が有罪だった。彼の妻も入試不正で懲役4年を言い渡され、服役中だ。曺氏は、ありとあらゆる良い発言、正しい発言をしてきた人物だった。そんな人物の破廉恥な不正が明るみに出た。「ネロナムブル」(自分がやったらロマンス、他人がやったら不倫。ダブルスタンダード)という批判が出ることは避けられなかった。そんな曺氏は、反省するのではなく、無念の政治弾圧を受けた闘士のようだ。
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曺氏は裁判中もブックコンサートを開いて著書を売り、彼の娘は芸能人にでもなったかのようにユーチューブのあちこちのチャンネルに出演した。商品のCMもやった。裁判部は、曺氏一家を指して「真実を語る人間に精神的苦痛を与えた」と批判した。控訴審の裁判長は「犯罪事実を認めない(曺氏の)謝罪は、真摯(しんし)な反省ではない」と述べた。
だが曺氏は「法律的釈明が受け入れられないのであれば、非法律的名誉回復の道を探さなければならない」と主張した。司法府の判断に服さず、国会議員になって政治的免罪符を獲得しようというのだ。新党の名称にも自分の名前を付けた。彼は5・18墓地を訪れ「私と私の家族が捜査対象になる中で、光州市民の苦痛と憤怒を理解するようになった」とコメントした。入試不正を5・18光州事件と同列で比較したのだ。
祖国党は「大学入試などにおける機会均等選抜制を拡大したい」と公約した。入試不正犯罪の容疑者が入試の機会均等を叫ぶ。ここにはネロナムブルに対する羞恥は全くない。曺氏が人材第1号として迎え入れた人物は、かつて飲酒・無免許運転で処罰を受け、正義党の比例代表候補も辞退した前歴がある。新党の政策委議長は朴元淳(パク・ウォンスン)元ソウル市長の秘書室長を務めた人物だ。女性職員に対する朴・元市長のわいせつ事件当時、秘書室は被害者に2次加害を行ったとして批判された。こんな祖国党も、世論調査では比例代表議席を幾つか得られるくらいに支持されているという。実際にそうなったら、選挙が犯罪に免罪符を与える、また一つの事例になるだろう。