北朝鮮の金正恩総書記が「統一拒否」の立場を示したことにより、これまで北朝鮮の体制の立場に同調してきた韓国国内の一部従北勢力の足場は一層狭まった。金研究委員は「汎(はん)民連(祖国統一汎民族青年学生連合)が少し前に解散する中で在韓米軍撤収を主張したが、今やこうした主張も通用しない」とし「南北が2国家関係であれば、よその国に在韓米軍がいようといまいと関係なく、金正恩の反統一宣言で最大の衝撃を受けたのは汎民連をはじめとする親北勢力」と述べた。
ドイツ統一を教訓にして、これを機に対北・統一政策を全面的に再検討する必要性も提起されている。駐独公使としてドイツ統一を見守った経験を持つ廉燉載(ヨム・ドンジェ)元国家情報院第1次長は「韓国の歴代政権は南北間の和解・協力に重点を置いた対北政策を展開してきた」とし「これは、ウィリー・ブラント元西ドイツ首相の東方政策後に大幅に強化された東西ドイツの交流協力がドイツ統一に及ぼした影響を過大評価したものであって、西独キリスト教民主同盟(CDU)の『力の優位』政策が及ぼした影響は過小評価した結果」だと指摘した。その上で「ベルリンの壁崩壊後、東ドイツに経済援助を提供しながら漸進的統一を主張するCDUの政策通りに進めていたら、ドイツ統一はずっと遅れていたか、不可能だった可能性が高い」と述べた。廉・元次長は「西ドイツが東ドイツの『2国家論』に巻き込まれなかったドイツの経験に照らしてみると、北朝鮮が2国家論を主張しても、大韓民国の正統性維持と統一のために『韓国が韓半島唯一の合法政府である』という立場は必ず固守しなければならない」「今後の対北政策の焦点は、北朝鮮住民の人権保護と北朝鮮内部への外部情報流入および拡散に合わせる必要がある」との見方を示した。北朝鮮の金氏王朝と北朝鮮住民を切り離し、北朝鮮政権は軍事的敵対の対象としても北朝鮮住民は抱擁し、支援すべき対象と規定しなければならない-というわけだ。
キム・ミンソ記者、ヤン・ジホ記者