残念なことでした。このように韓国史について誤って記述した内容が、米国立博物館の書籍のみならず国際的な出版社の本を通して伝えられているからです。これらの本は市中の書店で、またオンラインの電子書籍として手軽に購入できます。広開土王を新羅の人物と書くというのは、やってはならない誤りではありますが、単純なミスだと理解することもできるでしょう。
しかし任那日本府説は、西暦4-6世紀に日本が韓半島南部を支配していたという根拠のない主張であって、日本の代表的な歴史歪曲(わいきょく)だと指摘されてきました。今では、日本の学界ですら破棄された学説です。
こうした問題は、既に中国でも起きていました。中国の大学の世界史教材として最も広く読まれている人民出版社本の『世界通史』には「大和国家はかなり早い時期から隣国朝鮮を侵略した。4世紀中盤、朝鮮半島南端の弁韓伽耶国から任那を奪取し、北に向けて侵略を継続する拠点とした」と書いてあったのです。
歴史は、守らなければ失われてしまい、歪曲されてしまいやすいものです。スミソニアンの本にちょっと間違ったことが書いてあるからといってそれが何か大変な問題なのか、と思う人がいるかもしれません。ですが、こうしたことが繰り返されると、後々収拾をつけるのが困難になりかねないのです。
韓国政府や国家機関は、こうした問題点を積極的に見つけ出し訂正する努力に、一層力を注がねばならないように思います。
ワシントン=盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者・ジョージタウン訪問研究員