韓国与野党は第22代国会議員選挙を41日後に控えやっと選挙区を確定したが、それは中立の選挙管理委員会選挙区確定委員会が提案した原案ではなく、比例代表1議席を減らして全羅北道の10議席を維持するものだった。確定委員会の原案はソウルと全羅北道で1議席減、仁川と京畿道で1議席増だったが、野党・共に民主党が「全羅北道選挙区の1議席減には応じられない」と強く反対したため上記の結果に落ち着いた。
共に民主党の要求に合わせるため群山市の一部が金堤市と扶安郡の選挙区と合併する新たな選挙区が誕生した。金堤市は人口8万1376人、扶安郡は4万9056人でいずれも一つの選挙区となる最低人口に満たないことから、群山市の一部を切り取ってこれに合併させたのだ。この結果、人口175万人の全羅北道は忠清北道よりも16万人、江原道よりも23万人しか多くないにもかかわらず、議席数は二つも多くなった。
選挙区は人口と行政区域の境界に基づいて決めるのが基本原則だ。全人口を選挙区数で分けた数を基準とし、その上で1選挙区の最大人口が最低人口の2倍を上回ってはならないとする憲法裁判所の決定により一つの選挙区の人口は最低13万6600人以上、最高27万3200人以下になるよう設定しなければならない。大韓民国国民であれば誰もが同じ1票の価値を持つための基本原則だ。これにはいかなる政治的判断も配慮もあってはならない。
ところが共に民主党は「自分たちの支持基盤である全羅北道で1議席を減らすのであれば、ソウル江南や釜山でも減らせ」と要求した。この問題で与野党は合意に至らなかったため、国会議長は議員数を1議席増やして301議席にすることを提案した。議員数を1人でも減らすことを国民は望んでいるが、議長の提案では逆に議員数増となってしまう。最終的に全羅北道の議席数を維持するため比例代表を減らすことで決着した。
人口減少が続く中で選挙区の数を強引に維持すれば、当然1票の価値は小さくなってしまう。そのため全羅北道に配慮させられ損害を受ける自治体の不満は無視されてしまった。共に民主党は選挙制度のルールでさえ李在明(イ・ジェミョン)代表が一人で決めてしまい、競技場に相当する選挙区の見直しでも自分たちの支持基盤を守ることにしか関心がなかった。選挙を前に原則や常識と懸け離れた駆け引きが今も毎日のように行われている。