ウクライナへの武器供与は自制すべきか【朝鮮日報コラム】

今後ウクライナによる劇的な反転攻勢がなければこの戦争は6・25と同じく休戦で終わる
ロシアに対してレバレッジなしに善意だけを訴えても勝算はない
韓国が武器輸出自制方針の撤回を発表するだけでロシアに圧力
NATOに借りをつくらせ韓国が国難に直面したときに堂々と支援を要請できるようにせよ

 ロシアによるウクライナ侵攻が3年目に入った。ウクライナは文字通り孤軍奮闘しているが、ロシアに占領された領土の回復は一層難しくなり、米国や欧州連合(EU)からの支援も先細りしている。今後劇的な反転攻勢がなければウクライナでの戦闘は最終的に韓国戦争と同じく休戦で終わるだろう。ただその一方でロシアによる侵攻はフィンランドやスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟を促し西側陣営を結束させた。そのため戦略的に考えるとウクライナ侵攻はロシアの方が失ったものが大きいとも言える。

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 韓国政府はこれまでウクライナ向けの殺傷兵器直接供与は自制してきたが、支援に取り組んできたNATO加盟国の弾薬の在庫を満たす形で支援の余力を維持するなどそれなりに貢献はしてきた。在来兵器は大量破壊兵器(WMD)の拡散防止を目的とする国際輸出管理レジームや対外貿易法の規制を受ける戦略物資ではないため、韓国政府がその気になれば供与自体に問題はない。しかしそれでも韓国がこれまで殺傷兵器の直接供与を自制してきた理由はロシアとの関係悪化に政治的な負担を感じてきたためだ。

 ロシアが韓国にとって何らかのプラスになることは今後もおそらくないが、それでもロシアは他国に害を及ぼす力や素質が非常に高いため、ロシアとの対立はできるだけ避けねばならない。ロシアは韓国にとってウクライナ以上に重要な国であり、ウクライナが勝つ見込みもないのであれば、ウクライナに賭けるよりもロシアとの関係でリスクヘッジを考えた方が得策かもしれない。しかしロシアと北朝鮮の連携が目に見えて深まった結果、そのような状況も根本から変わった。ロシアとの関係において守るべき最も重要な点はすでに失われつつあり、これ以上ロシアの顔色をうかがう理由もないことから、韓国は今後の対ロシア政策やウクライナへの武器供与自制の方針を全面的に再検討する必要が出てきた。これはさまざまな側面を総合的に考慮した上で結論を出さねばならないが、中でも特に留意すべき点は三つある。

 一つはロシアに対するレバレッジ(てこの作用)強化を第1次の目標にすべきという点だ。ロシアは北朝鮮に対する国際社会からの制裁を無力化し、軍事面と技術面で北朝鮮の核とミサイルの脅威を高めるため今も積極的に支援を行っている。さらに今後ロシアが自国の深刻な労働力不足を解消するため北朝鮮労働者を大量に輸入し、また北朝鮮に食料やエネルギーの支援まで行うようになれば、現在瀕死(ひんし)の状態にある北朝鮮経済を復活させ、北朝鮮は軍事力の増強にさらに乗り出すことも可能になる。ロシアがこのような形で韓国の核心的な利益を侵害することや、韓半島の平和と安定を脅かす北朝鮮の共犯になることをけん制する現実的な方策があるとすれば、それはロシアにそれ相応の代価を払わせること以外にない。それには例えば韓国政府が無償でウクライナに武器を供与することや、NATO(北大西洋条約機構)加盟国がウクライナ支援のため韓国製の武器を輸入する際に、その最終使用者の証明を韓国政府が免除し直接供与の道を開くことなどが考えられる。あるいは韓国政府がウクライナ向け武器輸出自制の方針を撤回するだけでもロシアに対して一定の圧力になるだろう。そう考えればロシアと北朝鮮による連携のレッドラインを韓国が設定する際、韓国がウクライナやNATOに対して自国の武器供与に応じることや、あるいはその供与の規模拡大などを一定のレバレッジとすることが可能だ。つまり武器供与に対するロシアの反発が強ければ強いほど、北朝鮮との連携をけん制する韓国政府のレバレッジもそれだけ強まるということだ。

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