医大・医学部の増員に反対して退職届を出した初期研修医は、主要な研修先の病院100カ所で1万人を超えた。これは、該当病院の初期研修医の80%だ。現場を離れた初期研修医の数も9000人を超えている。さらに、後期研修医も職場離脱の動きを見せているという。政府は初期研修医らに対し、29日までに復帰するよう指示した。拒否すれば医師免許停止処分と違法行為に対する捜査につながる見通しだ。
今月20日から初期研修医の集団退職が1週間続いていることから、ソウル市内の主な大規模病院では手術を半数まで減らし、救急救命センターさえ医師が足りず、患者を送り返す事態となっている。韓国の初期研修医は全医師の11%に過ぎない。初期研修医はまだ学んでいる最中で、研修を受けている立場にある。それでも彼らが職務を拒否すれば、すぐさま大規模病院がまともに機能しなくなり、ふらつくのが韓国の医療の現実だ。2000年の医薬分業事態以降、もう4回も同様の事態が繰り返されている。そのため、医師たちは、集団行動が必要になると、いつも研修医らを前面に立たせる。現在の大規模病院の状況は、企業で言えば見習い社員が仕事をしなければ会社がマヒするというのと同じだ。このような企業があったら異常と言わざるを得ない。
それにもかかわらず、こうした事態となっているのは、低賃金で長時間勤務させることができる初期研修医への依存度を大規模病院が過度に高めているからだ。特に「ビッグ5」と呼ばれるソウル市内の上級総合病院では、医師の30-40%が初期研修医だという。ソウル大学病院ではこの割合が46%にも達する。彼らは週80時間近く働き、病院の業務量の約70%を処理しているとのことだ。これは先進国ではほとんど見られない状況だ。東京大学付属病院は初期研修医の割合が10%、米国の総合病院メイヨー・クリニックもレジデントの割合は10%だという。
医師の数が増えたら、韓国の大規模病院のこうした誤った構造も是正すべきだ。初期研修医の数字と勤労時間を減らす一方で、専門医の数は増やさなければならない。研修生が集団行動を取ることで病院全体の診療が揺らぐといういびつな構造は今回を最後にしなければならない。