手術室や入院病床で患者を守ってきた初期研修医の約70%(7863人)が病院からいなくなり、看護師たちが初期研修医の代わりに処置をするケースが続出している。医療法上、違法に当たる余地が多分にある行為だ。看護師53万人が所属する大韓看護協会の申告センターには「激務もつらいが、今やっていることが後に問題になり、刑事処罰を受けるのではないかと思うと不安だ」「救急処置を適時に行うことができず、患者が集中治療室行きになった」という申告が相次いでいる。
【グラフィック】これも本来は医師の業務…看護師たちが代替している医療行為
■看護師が心電図検査・挿管実施
大韓看護協会によると、初期研修医が集団で病院を去った今月20日から三日間に寄せられた「現場看護師の苦情」は計154件だったという。最も多かったのは「違法診療行為」だった。患者を対象に行われる診療・処置・手術は医療法上、医師が行わなければならない。看護師は、隣で医師の指示に従って補助行為のみすることができる。しかし、これまでも医師不足によりPA(医師補助)看護師などが医師の一部業務を慣行的に行ってきたが、違法と合法の境界線上にある行為だ。
昨年、看護師たちが地方の高齢者ケアなどを盛り込んだ看護法制定を推進した際、各医師団体は「医療システム崩壊法案だ」と言って反対した。看護師たちは当時、「今後は医師たちが自分の仕事を看護師に押し付ける『違法委任』を受け入れない」と言った。ところが、今回の初期研修医の医療現場離脱により病院が人手不足に陥ると、以前のように看護師が初期研修医の業務を代わりに行うケースが頻発しているのだ。初期研修医が行っていた動脈血採血、血液検査、心電図検査、ドレッシング(創部保護)などを看護師が代わりにしているということだ。
ソウル峨山病院のある看護師は「初期研修医の業務である尿道カテーテル挿入・動脈血採血・手術同意書を受け取る行為を看護師がしている。引き継ぎもなく初期研修医たちが現場を離れたのは、医療システムをマヒさせる行動だ」と言った。ある地方総合病院の看護師は「医師のIDで看護師が処方する代理処方も行われている」と話した。有名病院であるセブランス病院のある看護師は「『ストライキをしている一部の初期研修医が、医師の業務をしている看護師を告発しようとしている』と聞いた。処罰されるのではないかと思うと怖い」と語った。