【ソウル聯合ニュース】韓国政府が医師不足などの対策として発表した大学医学部の入学定員増の方針に反発する専攻医(研修医)の職場離脱が広がっていることを受け、韓悳洙(ハン・ドクス)首相は23日、対応を議論するために開かれた政府の中央災難(災害)安全対策本部の会議で、同日からオンラインによる非対面診療を全面的に拡大すると発表した。
非対面診療は医院級の医療機関で再診患者を中心に行われている。例外として医療機関の少ない地域や休日・夜間の初診患者にも認められているが、この日から地域を問わず平日に初診患者の非対面診療が可能になる。
病院級以上では、再診患者のうち病院での治療が必要な難病患者や手術・治療後に継続管理が必要な患者のみ非対面診療が許されていたが、一般の患者も非対面診療の対象となる。
非対面診療の拡大は、専攻医の不在により医療現場の混乱が深刻化するなか、軽症患者に非対面診療を行うことで重症・救急患者への対応を強化する狙いがある。
大型病院で専攻医が職場を離れたことで比較的緊急度の低い患者が総合病院などの2次病院に集中し、医療スタッフの過重労働や患者の長い待ち時間といった問題が発生している。
政府が医師らの団体行動への対応策として非対面診療の拡大を決めたのは、医療現場が反対する政策を全面的に施行し、医師に圧力をかけるためとも受け止められる。
政府は当初、医療現場の状況がさらに悪化した場合に非対面診療の拡大を実施する予定だったが、タイミングを早めることで事態の長期化に備える一方、団体行動に乗り出した医療現場に対し一歩も退かないというメッセージを発する意図もあると分析される。
政府は、新型コロナウイルス感染症の流行中に一時的に許容した非対面診療について、昨年6月からは再診患者と医院級の医療機関を対象にモデル事業として実施している。
その後、国会を中心に法制化が進められているが、議論は進んでいない。