「少子化は偶然ではない」 仏紙ル・モンド、韓国のノーキッズゾーンを批判

 少子化問題が深刻な韓国で「ノーキッズゾーン(No Kids Zone、子どもお断り)」が広がりを見せる中、こうした現状を批判的に見詰める海外メディアの報道が飛び出した。

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 フランス紙「ル・モンド」は19日(現地時間)「韓国社会が少子化にあえいでいるのは偶然ではない。子どもがいるということだけでも疲れてくるからだ」として、韓国の「ノーキッズゾーン」を紹介した。

 同紙は、済州研究院が昨年5月に発表した資料を参照し、ノーキッズゾーンが韓国全土に542カ所、ネットユーザーがグーグルマップで検索したノーキッズゾーンも459カ所あると報じた上で「人口が減少している国で、このような現象は心配だ」とつづった。さらに、韓国中央大のイ・ミンア社会学科教授がこれについて「集団間の排除、他人に対する理解を拒否する傾向が強まっている」と分析しているとも報じた。

 韓国にノーキッズゾーンができ始めたのは2010年代初めで、企業側が追うべき法的責任に関連していると同紙は説明。店の中で安全事故が発生すれば、店側の責任になってしまうというわけだ。

 同紙は韓国消費者院の調査結果として、2018年から23年にかけて、ホテルや飲食店などで子どもに関連する事故が2943件発生し、ほとんどの管理者らが有罪判決を受けたと紹介した。

 その上で、11年に釜山市内の飲食店で、熱湯を運んでいた店員とぶつかった10歳の子どもがやけどを負い、裁判所が飲食店オーナーに対し4100万ウォン(約460万円)の賠償金を被害児童に支払うよう命じる判決を下したことを例として挙げた。

 同紙は、ソウル市内の高級日本食店のオーナーが自身の店をノーキッズゾーンに変更した理由についても紹介。このオーナーは「以前は乳幼児用の椅子を置いていたが、子どもたちが騒いだり食べ物を投げたりするなど問題があまりにも多かった」として「そのような振る舞いは、高い料金を払ってそれに見合ったサービスを期待する他のお客さまに迷惑となる恐れがある」とコメントした。

 ル・モンドは、韓国社会でノーキッズゾーンの運営を巡って論争が起きていることも紹介。「営業の自由」と「子ども差別」という意見が対立している現状を説明した。

 その上で、一部の飲食店はノーキッズゾーンの代わりに、「子どもの面倒をまともに見られない親」の入店を禁止するという意味で「悪い父母の入店禁止」といいう表現を使っていることも紹介した。

 同紙は「ノーキッズゾーン現象は、さまざまなカテゴリーの集団にレッテルを貼る幅広い動きの一つだ」と指摘。その上で、特定層の入場制限が「カコン族(カフェで勉強する人たち)」や高齢者層まで拡大しているとして「こうした現象は、互いに対する理解や世代間の交流増進にとって役に立たない」と続けた。

キム・ジャア記者

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  • ▲ソウル市内にある「ノーキッズゾーン」カフェと飲食店。/朝鮮DB

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