ソウル中央地裁、徴用被害者の遺族5人に日本企業の供託金を初支給

大法院で勝訴した遺族5人、企業側が裁判所に供託した6000万ウォンを受け取る

ソウル中央地裁、徴用被害者の遺族5人に日本企業の供託金を初支給

 日帝強制動員被害者が大法院での勝訴確定判決を基に日本企業のお金を取得した、初の事例が出た。日本企業が訴訟中、強制執行を受けないように裁判所に供託していたお金を、損害賠償金として受け取ったのだ。これは、日帝強制動員被害者支援財団が「第三者弁済」方式で支援するものとも別個となる。

 ソウル中央地裁は20日、日本企業の日立造船の供託金6000万ウォン(現在のレートで約670万円。以下同じ)を強制動員被害者の故イ・ヒヨルさんの遺族5人に支給したと発表した。イさんが2014年11月に日立造船を相手取って強制動員に対する損害賠償請求訴訟を提起してから、9年3カ月を経ての結果だ。イさんは1944年、日立造船所などで強制労役に就いた。裁判中にイさんは亡くなったが、遺族が訴訟を継続していた。

 20日に裁判所が日立造船の供託金を支給したのは、昨年12月に大法院(最高裁判所に相当)が「日立造船はイさんの遺族らに損害賠償および遅延利子、併せて1億ウォン(約1120万円)を支払え」と確定判決を下したことに伴うもの。

 イさんが日立造船を相手取って起こした訴訟は、日帝強制動員被害者らの「2次訴訟」中の一つだ。他の被害者らが05年にまず起こした「1次訴訟」で、大法院が12年に「日本企業に損害賠償責任がある」という趣旨の破棄差し戻し判決を行ったことを受け、イさんが追加訴訟を起こした。当時、日立造船を相手取って訴訟を起こした強制動員被害者はイさん一人だけだった。

 イさんは一審から大法院まで全て勝訴した。日立造船は19年1月の控訴審で敗訴した後、ソウル高裁に損害賠償金強制執行停止を請求し、担保金としての性格を有する6000万ウォンを供託した。これは、強制動員に加担した日本企業が韓国の裁判所に現金を託した唯一の事例といわれている。イさんの遺族は、大法院での勝訴確定判決を根拠に今年1月、日立造船の供託金に対する差し押さえ推進命令を裁判所で得て、今回支払いを受けた。

 イさんの遺族らを代理しているイ・ミン弁護士は20日、「日本企業が自発的に支払った金が強制徴用被害者に届けられるのは今回が初めて」だとし「日本企業によって事実上の賠償が行われたという点で意義がある」と語った。

 イ弁護士はまた「供託金で弁済される賠償金を除く残りの4000万ウォン(約450万円)については、日帝強制動員被害者支援財団で提案している案を前向きに検討する予定」とした。行政安全部(省に相当)傘下の同財団は、韓国国内の裁判所で確定した強制動員賠償金を日本企業に代わって支払う「第三者弁済」方式で被害者を支援している。

 日立造船は20日、裁判所の供託金支給について「極めて遺憾」とする立場を表明した。

 一方、イさんを除く強制動員被害者らは、相次いで勝訴確定判決を受けたもののいまだに賠償金の支払いを受けられずにいる。韓国国内にある被告企業の資産売却について、大法院の最終決定が出ていないからだ。

パン・グクリョル記者

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