2013年に放送通信委員会(放通委)は、このドキュメンタリーを放送した「市民放送RTV」に対し法定制裁措置を下した。RTVが不服を申し立てた裁判では、二審で放通委が勝った。ところが19年に大法院(最高裁に相当)がひっくり返した。「李承晩・朴正煕の業績に対する前向きな評価は既に主流的地位にあり、視聴者が制作した番組については放送事業者より緩和された基準を適用すべきである」。市民団体の事実歪曲はいいのか? 法服を着て詭弁(きべん)を弄(ろう)した大法官は金哉衡(キム・ジェヒョン)、パク・チョンファ、閔裕淑(ミン・ユスク)、金善洙(キム・ソンス)、盧貞姫(ノ・ジョンヒ)、金尚煥(キム・サンファン)、ここに大法院長・金命洙(キム・ミョンス)が1票を加え、7対6でフェイクニュースが勝った。
本紙や、李栄薰(イ・ヨンフン)のような学者らが「李承晩再評価」を何度も試みたが、彼を「石つぶての墓」から引き出すことはできなかった。保守政治家やエリート層で「李承晩を尊敬する」と公言する人物はまれだ。胆が小さく怠惰で、損をするのを嫌がり、見ないふりをして放り出してしまう。保守は、欠陥の「欠」の字が出てきただけでもすぐに切り捨てる。『反日種族主義』の著者、李栄薰教授の研究室にやって来て「親日派××」と拳を振り回した勢力が、昨年には親北牧師の腕に隠しカメラを仕込んで大統領夫人を盗撮した。転向した運動圏(学生運動出身)で、韓国経済史を最も実証的に研究した右派学者・李栄薰が「ソウルの声」にたたかれたとき、保守はこっそりと彼を見捨てた。
『建国戦争』のヒットで、左派フレームに屈服していた右派が覚醒している。「保守理論」を学んでみたいという人も多い。ここで、ドイツのマルティン・ニーメラー牧師の言葉をパロディーしてみたい。「彼らが李承晩を攻撃したとき、私は声を上げなかった。/左派が朴正煕を攻撃したとき、私は声を上げなかった。/彼らが私を攻撃したとき、私のために声を上げてくれる者は誰一人残っていなかった」
朴垠柱(パク・ウンジュ)記者