【ソウル聯合ニュース】韓国各地の病院で19日、政府が発表した大学医学部の入学定員増に反発する専攻医(研修医)が退職届を提出したり、その一部が実際に医療現場を離脱し始めたりしている。保健当局は専攻医に「診療維持」を命じ、従わない場合は法にのっとって対応する姿勢を強調し、警察トップも専攻医側に対する厳正な捜査方針を明らかにした。医療現場では診療や手術のスケジュールに支障が出始めており、市民団体と労働界は専攻医の団体行動を告発する方針を示した。
◇各地の大型病院 研修医が退職届
ソウルにある五つの大型病院の専攻医は、19日中に全員が退職届を提出し、20日午前6時以降は勤務しないと予告した。そのうちセブランス病院では19日午前に小児青少年科の1~3年目の専攻医全員が退職届を出した。
同じく首都圏の仁川をみると、前日午後6時までに吉病院で42人、仁荷大病院で64人、仁川聖母病院で38人、それぞれ一部の専攻医が退職届を提出したことが分かった。
中部では、大田聖母病院で44人の専攻医が退職届を出し、19日朝から出勤していない。大田乙支大病院の専攻医は同日、42人の退職届をまとめて提出した。南部の済州大病院では派遣されている医師を含む53人の専攻医が19日までに退職を届け出た。
南東部にある全北大病院の専攻医は189人全員が19日に退職届を提出し、20日午前6時からは勤務しない予定だ。
◇政府「持ち場を守って」 呼び掛けながらも厳正対処へ
保健福祉部は19日、専攻医の指導病院として指定されている全国221の病院に勤務する専攻医に対し、診療の持ち場を離れてはならないとする診療維持命令を発令した。同時に、専攻医がより良い環境で勤務し、教育と研修を受けられるよう改善するとしながら「患者に背を向けないでほしい」と訴えた。
同部は医療現場を点検し、離脱した専攻医に業務開始(復帰)命令を出し、応じない場合には医師免許停止などの措置を取り、告発する方針だ。
医師団体の大韓医師協会(医協)に対しては、専攻医の集団行動をあおっているとして批判の声を強めた。
また、警察トップの尹熙根(ユン・ヒグン)警察庁長は19日の記者会見で、医師側が団体行動により告発される場合には「定められた手順の中で最大限迅速に捜査する」と述べ、主導者の身柄を拘束して捜査することも検討するとした。
◇病院は対応急ぐ 患者は困惑・不安
医療現場は混乱の兆しが出ている。専攻医が不在となった病院では、がん手術や出産までがスケジュール変更を迫られている。
ソウルの主要5病院のうち、一部の専攻医が退職届を出したセブランス病院では19日から小児青少年科などで診療を見合わせ、緊急体制に移行した。病院全体で手術件数が半分に減っているという。ソウル峨山病院では20日朝からの専攻医による団体行動に備え、患者の状態を見極めながら診療科別に診療や手術のスケジュールの調整を進めている。その他の病院も人員が限られるとみて、手術は緊急度や重症度が高い患者を優先する方針だ。
手術を控えた患者側は混乱や嘆きの声を上げている。市民団体などは、専攻医の団体行動を告発するほか医学部定員増に賛成する集会の開催も計画している。