北朝鮮は今回海上国境線の位置については明言しなかった。韓国国防部(省に相当)の関係者は「北朝鮮は戦略的にあいまいな立場を維持し、緊張を高めるために国境線を特定しないだろう」と予想した。ただし北朝鮮がNLLを否定し、2007年に主張した境界線(警備界線)を持ち出す可能性も考えられる。海域によって多少異なるが、北朝鮮が主張する境界線はNLLよりも数キロ南に位置する。18年の南北軍事合意後も北朝鮮は将校レベルの会談)や軍事実務会談などで警備界線を認めるよう要求してきたという。北朝鮮は20年に西海で韓国の公務員を射殺した直後、韓国軍が遺体の捜索作戦を行っていた際に「領海を侵犯した」と主張した。韓国軍はNLLの南側でのみ捜索作戦を行ったが、その際に北朝鮮が主張する境界線(警備界線)を越えたと抗議してきたのだ。
一方で北朝鮮は同日、今月14日に発射したミサイルを新型の地上対海上(地対艦)ミサイル「パダスリ6型」と発表した。韓国の専門家はこのミサイルの射程距離を最長300キロと推定している。北朝鮮は「陸上からでも韓国の船舶を攻撃する能力がある」と自分たちの能力を誇示したいようだ。峨山政策研究院の梁旭(ヤンウク)研究委員は「NLL周辺に対艦ミサイルを配備したようだが、これは韓国海軍による哨戒活動を妨害する意図だ」との見方を示した。
韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は昨年12月の「敵対的2国間関係」発言後、西北島しょを狙った放射砲(多連装ロケット砲)や長射程砲の砲門を多いときは20門まで開放していたという。これは北朝鮮が西北島しょに挑発を仕掛ける可能性が今なお残っていることを意味する。ただその一方で梨花女子大学の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「本当に延坪島と白翎島に挑発を仕掛ける考えなら、何の予告もせず攻撃を加えるはずだ」と挑発可能性に否定的な見方を示している。
ヤン・ジホ記者