このように太平洋の島国が台湾と中国の間で乗り換えを繰り返した例は少なくない。キリバスは独立直後の1980年に中国と国交を樹立したが、23年後の2003年11月には中国との関係を断ち、台湾と国交を樹立した。中国の外交攻勢に押され、外交関係を持つ国を失いつつあった台湾としては、久しぶりに外交的成果を収めるものだった。しかし、2019年9月、キリバスは台湾との外交関係を断ち、再び中国と国交を結ぶと発表した。 今回のナウルとほぼ同じ経緯だった。
韓国人には聞き慣れない小さな島国が点在する太平洋は、中台による外交戦の激戦地だ。特に中国の強力な外交攻勢に押され、相次いで国交を失っている台湾にとっては、必ず死守しなければならない存在でもある。台湾の外交関係を持つ国のうち3カ国(マーシャル諸島、ツバル、パラオ)が太平洋に集中しているからだ。台湾独立傾向が強く、親米・親西側路線を追求した民進党の蔡英文政権が8年間継続する間、中国による激しい外交攻勢が続き、台湾は友好国10カ国を失った。台湾は米国が制定した台湾関係法に基づき、米国との関係を維持するなど主要国と非公式関係を維持しており、リトアニアやチェコなど欧州諸国とは主要高官の訪問を続け、協力を強化している。
こうした状況でも国交を守ることに必死になる理由がある。領土、経済規模、人口に関係なく国連で一票を行使できる正式加盟国と外交関係を結んでいるかどうかの差は大きいためだ。中国ではなく台湾を正式な外交パートナーとして承認し、国と国の関係で交流する国家がなくなると、「台湾問題は他国が干渉できない内政問題」だという中国の主張がさらに説得力を得る可能性もあるからだ。中国は「台湾は中華人民共和国から離脱した一つの省であり、将来必ず吸収しなければならない対象だ」と主張し続けてきた。
そんな台湾にとって、外交関係を持つ太平洋3カ国は外交的孤立の状況でも心強い援軍の役割を果たしてきた。とりわけパラオは国際社会に何度も台湾を強く支持するメッセージを伝えてきた。パラオのスランゲル・ウィップス・ジュニア大統領は台湾総統後すぐに長文の祝賀メッセージを発表した。同大統領は国民が台湾の青天白日満地紅旗を持った写真や頼清徳氏とツーショットを添え、フェイスブックを通じ、「パラオは民主的原則に従って成立した台湾の側に立っている。今年10月に開催されるパラオ独立30周年記念式典に頼氏を招待する」と述べた。パラオは台湾と25年間にわたり国交を結んでいる。また、マーシャル諸島は1990年に中国と国交を樹立したが、1998年に台湾に乗り換えて以来、これまで外交関係を維持している。
鄭智燮(チョン・ジソプ)記者