北朝鮮がロシアに労働者を派遣…安保理制裁決議に堂々と違反

ウラジオストクに300人の北朝鮮労働者
武器取引から始まり労働者にまで拡大

 北朝鮮労働者300人が今月5日に鉄道を利用しロシアのウラジオストク郊外に到着したことが分かった。先日もロシアから北朝鮮への団体観光が再開され、朝鮮労働党代表団はロシア政権与党の招きを受けロシアを訪問した。昨年9月のプーチン大統領と金正恩(キム・ジョンウン)総書記の首脳会談を受け、武器取引を含む軍事協力はもちろん経済、文化、政治などさまざまな分野で両国関係が緊密になっているようだ。

 韓国統一研究院の趙漢凡(チョ・ハンボム)先任研究委員は13日、本紙の取材に「300人以上の北朝鮮労働者がロシアのハサン駅を経てウラジオストクに到着した。現地筋が目撃している。全員が非常に大きな荷物をたくさん持って駅に降りた」「現地では今後引き続き北朝鮮から労働者の派遣が続くといううわさも広がっている」などと伝えた。

 北朝鮮から派遣された労働者の雇用は国連安全保障理事会(安保理)による対北朝鮮制裁決議違反となるが、ロシアはこれに堂々と違反しているのだ。安保理は2017年12月に対北朝鮮制裁決議第2397号を採択し、北朝鮮から派遣された労働者を24カ月以内に全員送り返すよう定めた。ロシアはこれをごまかすため北朝鮮労働者の入国ビザを留学、研修、観光、文化交流用として発給しているという。

 北朝鮮労働者が航空機ではなく鉄道を使って派遣されるのも異例だ。ロシアと北朝鮮は2013年にロシア沿海州のハサンと北朝鮮の豆満江駅をつなぐ国境鉄道を開通したが、これは貨物用の路線だ。今年1月に沿海州のオレグ・コジェミャコ知事は「今年中にハサン駅と北朝鮮の羅津港を結ぶ旅客鉄道路線を開通させる計画を進めている」と明らかにした。そのため今回の鉄道路線を使った労働者派遣は一種の「試験運行」だった可能性が考えられる。趙漢凡研究委員は「今回は300人以上で最初のチームだったが、今後もかなりの規模で別の労働者たちが順次鉄道を利用する可能性が考えられる」と予想した。

 韓国政府も一連の状況を注視している。ある韓国政府関係者は「昨年は北朝鮮でロシアに派遣する労働者を選抜中との情報があり、その後実際に派遣されたとの情報も複数あったが、どれも最終確認はできなかった」と伝えた。

 コロナで中断していたロシア人の北朝鮮団体観光も先日から再開されている。約100人のロシア人観光客が今月9日に高麗航空の旅客機で北朝鮮を訪れ、平壌の金日成(キム・イルソン)広場、元山の馬息嶺スキー場リゾートなどを観光し、12日にロシアに帰国した。今回のロシア人団体観光客の北朝鮮訪問は昨年9月にプーチン大統領と金正恩総書記との首脳会談を受け実現したものだ。ロシアは北朝鮮と海上航路と鉄道でつなぐ方針をすでに表明している。ロシアのアレクサンドル・マツェゴラ駐北朝鮮大使は先日のインタビューで「ロシアはかつて羅津港とウラジオストクをつなぐフェリー航路を運行していた。非常に人気があった」「この航路が近く復活することを願っている」とコメントした。

 また北朝鮮の朝鮮中央通信は同日、平壌市党委員会の金秀吉(キム・スギル)責任秘書を団長とする朝鮮労働党代表団がロシアの政権与党である統一ロシアの招待を受け、前日平壌からロシアに向かったと報じた。北朝鮮代表団は統一ロシア主催の「民族の自由のために」をテーマとする第1回会議に出席する予定だ。金秀吉秘書は朝鮮人民軍総政治局長、江原道党責任秘書などを歴任した朝鮮労働党幹部で、総政治局長だった時に大量破壊兵器(WMD)や弾道ミサイル開発に関与したとして韓国や米国などの制裁リストに名前が上がっている人物だ。

キム・ミンソ記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲イラスト=UTOIMAGE

right

あわせて読みたい