偶然と必然も重なった。釜山大の知人からチョ・ミン氏の相次ぐ留年の事実を聞いたイ委員に対し、ある記者が釜山大医学部の奨学金の内訳の入手を依頼した。「留年なのに奨学金をもらえるのか」と奇妙に思ったが、イ委員は釜山大が気づかないように、医学専門大学院はもちろん一般大学院、特殊大学院まで範囲を広げ、数年分の資料を要求した。「留年奨学生チョ・ミン」が確認された瞬間だった。大事だと直感したイ委員は「曺国の連絡先を知っていたら『ここでストップしろ』と言いたかった。巨大な嵐が近づいていた」と書いた。
本はとっくに書き上げていたが、チョン・ギョンシム氏の獄中手記とチョ・ミン氏のエッセイが相次いで出版されたため、関連する内容を反映して出版日が2月7日にずれ込んだ。偶然にも曺国氏の二審判決の前日だった。イ委員は「『曺国問題』の嵐が吹き始めて5年になるが、いまだに韓国社会は曺国を知らない」と語った。
「出世欲と学歴偽造、財テクに関する恥ずべき実態が明らかになったが、人々が総選挙出馬を悩む曺国に依然後援金を送り、チョ・ミンの口座に婚約のご祝儀を送金したのはなぜなのか。事実をちゃんと知らないからだと思う」
イ委員は「『散らばった事実』と『フェイクニュース』の狭間で大衆は戸惑ってしまう。我々は理性の時代に生きている。事実が変わったならば、判断も変わらなければならない。それがこの本を書いた理由だ」と述べた。
「時間順に整理すれば、曺国は息子の替え玉で試験を受け、数日後に(崔順実=チェ・スンシル=氏の娘)チョン・ユラの替え玉試験は驚くべきことだと非難し、また数日後に息子の替え玉で試験を受けた。曺国とはいったいどういう人物なのか」(35ページ)
それはイ委員が曺元長官を徹底して暴こうとした理由だ。
パク・ククヒ記者