【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が韓国とこれまでに締結した経済協力関連の合意書を一方的に廃棄したことに対し、韓国統一部の当局者は8日、北朝鮮側の宣言を認めない姿勢を示した。
統一部によると、2018年末時点で南北が締結済みの合意書は、首脳会談の合意文から実務接触時の共同報道文まで約250件ある。このうち経済関連は約110件だ。同当局者は「北の一方的な宣言だけで合意書の効力が廃止されるとはみていない」と述べた。
北朝鮮の朝鮮中央通信は8日、最高人民会議(国会に相当)が常任委員会総会を7日に開催し、北南(南北)経済協力法、金剛山国際観光特区法とその施行規定、北南経済協力関連の合意書の廃止を可決したと報じた。
廃止が決まった北南経済協力法は、韓国との経済協力に関する基本法と位置付けられる法律で、経済協力の手続きや適用対象などを明記していた。金剛山国際観光特区法は、韓国または外国の企業・個人による金剛山地区投資について定めていた。北南経済協力法は2005年、金剛山国際観光特区法は10年の制定。さらに北朝鮮は、南北間で締結された経済協力関連の合意書も一方的に廃棄した。韓国側と経済交流を行わない意思を明確にしたといえる。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)は昨年末の党中央委員会総会で、南北関係を「交戦中の二つの国家関係」と定義。今年1月15日に開かれた最高人民会議の演説では「共和国(北朝鮮)の民族史から統一、和解、同族という概念自体を完全に除去してしまわねばならない」と強調した。
その後、北朝鮮は南北当局間の会談を主導した祖国平和統一委員会、南北当局・民間の交流協力を担った民族経済協力局、韓国の現代グループが手掛けていた金剛山観光事業を担当した金剛山国際観光局を廃止した。これに伴い関連法も廃止されるとの見方が出ていた。