【ソウル聯合ニュース】2014年に韓国南西部の全羅南道・珍島沖で旅客船セウォル号が沈没した事故を巡り、一部の生存者とその家族55人が国と運航会社に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル高裁は7日、一審判決と同じく、国と運航会社の責任を認め、賠償を命じる判決を言い渡した。
一審で命じた慰謝料額を維持する一方、生存者6人について後遺症を認めて賠償額を引き上げた。
一審では生存者本人に1人当たり8000万ウォン(約890万円)、修学旅行中だった高校生の生存者の両親・兄弟姉妹・祖父母に400万~1600万ウォン、一般の生存者の配偶者・子ども・両親・兄弟姉妹に200万~3200万ウォンの慰謝料支払いが命じられた。
原告らは控訴審で、韓国軍の情報機関だった国軍機務司令部が犠牲者の遺族などを監視したことによる二次加害についても賠償を求めたが、認められなかった。
今回の原告は2015年に制定されたセウォル号を巡る特別法に基づいて支払われる賠償金の受け取りを拒否し、訴訟を起こした。
特別法では高校生の生存者59人と一般の生存者78人に1人当たり約6000万~7000万ウォンの賠償金の支払いが決まったが、原告らは事故から1年も経過していない時期に真相が分からない状態で一方的に決定された賠償金を受け入れることはできないとし訴訟に踏み切った。
2019年1月の一審判決では海洋警察や船長、船員らの避難誘導が不十分だったことなど、事故における違法行為と生存者の激しい精神的苦痛の間に因果関係があったと認められた。
原告76人のうち21人は控訴せず、判決が確定し、残りの55人が控訴していた。55人のうち生存者は19人で、このうち16人が修学旅行中の高校生だったという。
原告側の弁護士は「多くの生存者が新型コロナウイルス禍のため(後遺症判定のための)診断を受けることができず、追加賠償が認められないとみられる」と指摘。「生存者も犠牲者に劣らず、友人が死んで自分だけが生き残ったという、より大きな苦痛の中で生きている」と話した。