配送・返品サービスも韓国国内並み…韓国市場に大攻勢をかける中国EC業者

 第二の戦略は「物流倉庫の韓国化」だ。アリは仁川空港などに返品商品の集荷場を設け、昨年11月から無料返品サービスを開始した。返品分を中国まで送らなければならなかった既存システムを変更し、韓国で処理することで返品・払い戻しに要する期間を大幅に短縮した。アリは今年、韓国に物流センターを設け、「注文即時配送」システムの運用を開始する計画だ。韓国の地場EC業者との「翌日配達」競争も可能になる。

 最後に「アフターサービスの韓国化」だ。韓国消費者連盟によると、昨年のアリ関連の消費者の苦情件数は465件で、前年の5倍に増えた。カスタマーセンターに繋がらないとか、チャット相談では韓国語での意思疎通が難しいという不満が中心だった。アリは昨年下半期から韓国国内のカスタマーセンターを拡充し、韓国人社員を増やしている。

 中国・拼多多(ピンドゥオドゥオ)のショッピングプラットフォーム「Temu」も無料返品と購入後90日以内の全額払い戻しサービスを開始した。中国の衣料品プラットフォーム「SHEIN」も他国の顧客のレビューを韓国語に自動翻訳し、返品・払い戻しメニューを韓国語で提供している。

■このままでは「Cコマース」の天下に

 中国企業の韓国攻略はさらに激しくなりそうだ。アリババグループは小売業者であるアリに続き、卸売業者である「1688ドットコム」の韓国進出も準備中だ。クーパン、Gマーケット、11番街などに出店する韓国のインターネット通販業者の大半は中国の配送代行業者を通じ、1688ドットコムで商品を購入している。このため、韓国のEC市場が小売りはアリ、卸売りは1688ドットコムにそれぞれ攻略されるのではないかと懸念されている。

 しかし、韓国国内ではそうした状況に対する対応策はほとんどない。韓国消費者連盟は「海外EC業者を国内法で制裁する明確な規定はない」と指摘した。

李美智(イ・ミジ)記者

【表】韓国に進出した中国の電子商取引業者による「韓国化」戦略

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