同リゾートは紅盤を「カジュアル・ダイニング」として区別しています。ファイン・ダイニングよりは手ごろな価格の料理を、格式張らずに楽しめる店です。事実、迎仕軒では看板メニューとして広東の人々が「極品珍味」と称するアワビ料理を出しています。一方、紅盤はよりリーズナブルな価格となっている中国内陸部・重慶の麺料理がメインです。
法律の上で見ても、客を国籍によって区別する適切な根拠があります。
飲食店で料理を注文して食べる行為について、法曹関係者たちは「飲食店主と客が民法上の契約を結ぶこと」だと考えます。飲食店主は職業の自由に基づき、自らが定めた方針で飲食店を経営することができます。憲法第15条「職業遂行の自由」に該当するものです。
それでも、韓国で外国人だけを対象とする飲食店は意外と少ないのが現実です。特定の国の客だけでは経営を続けるのが難しいからです。自国の人々に対して排他的な飲食店だというレッテルを貼られるのも負担になります。
そのため、これまで外国人専用レストランは在韓米軍部隊や船員が行き交う埠頭(ふとう)などで営業してきました。これらの店ではセキュリティーを理由に韓国人を制限しています。
京畿道平沢市にある在韓米軍基地キャンプ・ハンフリーズは一時、部隊関係者が招待した場合に限り、韓国国籍者の訪問を許可していました。キャンプ・ハンフリーズにあったレストラン「テキサス・ロードハウス」はこうしてやって来た韓国人の口コミにより、2020年に正式に韓国でフランチャイズ導入契約を結びました。
また、釜山市内の「シーメンズ・クラブ」は世界中を航海する船員のためにサービスを提供する場所です。米国務省の認可を受けて、日本の横浜や沖縄、モロッコのカサブランカなど主な港町で営業しています。釜山のシーメンズ・クラブはメンバーシップ・カードを持っている人との同行なら韓国人も入ることができます。
ブランド・ポジショニング専門家であるデイビス・アンド・カンパニーのキム・ソヒョン・コンサルタントは「ナショナリズム(民族主義)がなくなり、世界的に見て韓国人が入れないレストランはまれになった。経済的な理由から外国人VIP層と韓国人消費者を分ける行為は、宗教的色彩が強い中東や政治的自由度に欠ける一部の国でしか見られない方針だ」と評しています。
ユ・ジヌ記者