■ユースのコーチは今や営業社員
ソウル市内の名門バレーボール部を持つ高校で2001年から監督を続けているキム・ジョングンさんによると、この高校では多い時には20人ほど部員がいたという。ところが先月この高校バレーボール部を取材すると練習中の部員はたった8人しかいなかった。卒業を控えた選手4人が抜けた後とはいえ、バレーボールは6人で1チームのため部内で練習試合もできなくなった。キムさんは「親を説得して生徒を入部させることが今の監督の仕事だ」「監督はいわば営業社員のようなものだ」と嘆いた。
才能ある選手がどこかに1人でもいることが分かれば、その選手を連れてくるため各校の競争が始まる。まず身長が高いだけで無条件に注目が集まる。群山高校バスケットボール部コーチのチェさんは昨年光州まで出向き、バレーボールをしている中学生をバスケットボールに転向させるため4-5回出張して説得を続け、ついに成功した。バスケットボールがうまいか下手かは関係ない。まずは人数を集めることが大きなハードルのため、選手のレベルも全体的に下がっている。あるバレーボール関係者は「最近高校を卒業した選手たちの実力は20年前の50%ほどだ」と語る。世界の舞台で韓国代表が苦戦する大きな理由がここにある。
バレーボールやバスケットボール関係者の間では「選手の背が高い種目から順番に弱体化するだろう」と冗談っぽく語られている。どちらも身長が高いほど有利な種目だが、選手がいないので今では身長に関係なく誰でも受け入れる流れが定着しているからだ。
■将来を見据えた育成プランも不在
少子化はもちろん韓国だけの問題ではないが、特に球技でその競技レベル低下をもたらしている理由は各種目の中央競技団体による選手育成プランや戦略が不十分な点も大きい。あるバスケットボール関係者は「韓国の世代別代表チームは試合がある時に招集され、わずか数日の練習で呼吸を合わせて大会に出場するケースが多い。これに対して日本は1年中、随時代表候補が集まり一緒に練習するので、チームスポーツの特性から考えて組織力の面でどうしても差が出る」と指摘する。かつて韓国代表はどの世代もアジアでは比較的高い身長や個人技で有利に試合を進めることができた。ところが最近は選手層が薄いため、組織力を高めなければ国際大会で存在感を発揮できなくなっている。
昨年の杭州アジア大会で初めてメダル無しの惨敗に終わったバレーボールではプロチームごとにユース部門を立ち上げるなど努力を重ねている。しかしどのチームも「安定した育成の仕組みを整えることよりも宣伝ばかり」といった批判を受けている。大韓バレーボール協会は杭州での惨敗を受け強化に向けた公聴会を開催し「生徒や学生の練習時間確保」「ユースの集中育成」などさまざまなテーマで議論を行ったが、これといった成果はなかった。解決策は出ず問題提起だけで終わったのだ。あるバレーボール関係者は「協会にビジョンがあるのか」と不満をあらわにした。
キム・ミンギ記者、パク・カンヒョン記者