祖国統一汎(はん)民族連合(汎民連)南側本部と6・15共同宣言実践南側委員会が解散を含む組織再編に着手したことが1日までに分かった。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は昨年の朝鮮労働党全員会議で「北南関係は同族関係ではなく敵対的2国家関係」「統一戦線部をはじめとする対南機構を整理・改編せよ」と指示した。これを受け朝鮮労働党の外郭団体である汎民連と6・15関連の北朝鮮側の組織が整理に向け動き出したため、韓国国内で「統一運動」を掲げてきたこれらのパートナーとなる団体もやむなく従っているのだ。
汎民連南側本部は先日発表した文書で「今月17日に総会を開く」「解散総会と新組織建設決議大会を行う」と明らかにした。同本部は最近の南北関係を「新たな激変期」と見なし、解散後に新しい連合体を立ち上げる方向で意見を集約しつつあるという。6・15南側委も先月31日に総会を開き、今後の方針について協議を行った。
汎民連南側本部は1997年に大法院(最高裁判所に相当)から「利敵団体」との判決を受けたが、その後も「連邦制統一」「在韓米軍撤収」「国家保安法廃止」などを引き続き訴えてきた。2014年に汎民連結成24周年を迎えた際に北朝鮮は汎民連による統一運動事業を「愛国事業」とたたえ「北と南、海外同胞らを統一愛国の基地の下で組織としてまとめ、祖国統一の主体的力量を強化した」と称賛した。ところが金正恩総書記は「先代の遺訓」である「祖国統一3大憲章(自主、平和、民族大団結)」などの統一路線を一気に破棄したため、汎民連南側本部などは内部で混乱に陥ったようだ。
北朝鮮人権民間団体協議会は「韓国国内の親北・従北団体は一気に立ち位置を失った」との見方を示した。「鋼鉄書信」の著者で「主体思想派の代父」だった金永煥(キム・ヨンファン)北朝鮮民主化ネットワーク研究委員も「数十年にわたり持ち続けてきた認識の枠組みが崩壊した」「当分は内部の混乱が避けられない状況だ」と指摘した。
無所属の尹美香(ユン・ミヒャン)議員主催で先日開かれた討論会では「戦争で平和が築かれるのであれば受け入れる」などの発言が出たが、これも一連の混乱の延長線上にあるようだ。親北勢力の内部分裂を防ぎ「単一の隊列」を維持するために金総書記の「戦争統一観」を即座に受け入れ、無理して新たな論理をつくり上げたのだ。
北朝鮮の対南政策転換を受け、韓国国内の親北陣営では「既存方式から脱皮し、より戦闘的・闘争的に生まれ変わるべきだ」などの声も出ている。「北朝鮮の戦争観は正義の戦争観」などの発言で問題となった釜山平和統一センター・ハナのキム・グァンス理事長は先日の寄稿で「北朝鮮の変化」に言及し「南側の運動の力量(汎民連南側本部、6・15南側委、進歩政党など)に対する失望と警告のメッセージだ」と指摘した。
韓国政府関係者は「親北団体が組織の解散、再編などで反省的実践を行った形だ」とした上で「より過激で全面的な反政府闘争が今後も行われるだろう」と予想した。実際に6・15南側委が先月開催したフォーラムでは「今年は局地戦ではなく核戦争が起こる可能性がある」「進歩陣営の連合による代案の政治勢力化」「大衆抗争を通じた尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領退陣の実現」「全国的自主力量拡大強化に全力を傾ける」などの発言が相次いだ。フォーラムのある出席者らは「核戦争リスクの中でキャンドルによる朴槿恵(パク・クンヘ)政権交代」というモデルも提示した。全国民主労働組合総連盟統一委員会も先日「反帝! 反帝! 労働者による自主統一運動の力量を強化し韓半島の平和を実現しよう!」などのスローガンを採択した。
汎民連南側本部事務処長を務めた市民団体「キル」のミン・ギョンウ代表は「南北が武力で衝突した場合、『李石基(イ・ソッキ)式内乱モデル』により後方から北朝鮮を支援するかを巡って今後陣営内で路線対立が起こるかもしれない」との見方を示した。
一方で汎民連の関係者は「内部で路線の混乱が起こっているとの見方は針小棒大」「考え方を整理し近いうちに発表する」と明らかにした。キム・グァンス理事長は「北朝鮮側に存在していたカウンターパートがなくなったので、こちらでの組織の整理は論理的帰結」と主張した。韓国国内の親北勢力が「反政府闘争強化」などの動きを示しているとの指摘にキム理事長は「統一団体が北朝鮮の指令を受けているという見方は極右的なフレームだ」「複数の勢力が自主的・主体的に情勢を判断中だ。尹錫悦政権と協力して統一運動ができないのは当然だ」と反論した。
ウォン・ソンウ記者