北朝鮮は金日成(キム・イルソン)主席・金正日(キム・ジョンイル)総書記の時代から「韓半島赤化統一」を目標とし、これを実現するため高麗連邦制など統一に向けた方策を提示し硬軟両面の対南戦略を進めてきた。
北朝鮮は金日成主席当時の1950年代、韓半島全体を共産化するため武力統一を前面に掲げていたが、1960年代には「平和統一」と「南北連邦制」を主張し始めた。金日成主席は1960年8月15日の光復節演説で「外国の干渉がない平和的祖国統一の最も合理的かつ現実的な方策」とした上で「過渡的な対策として南北朝鮮の連邦制を提議する」と呼びかけた。その後金日成主席は1980年の第6次党大会で「高麗民主連邦制」を正式に発表し、その前提条件として韓国の反共法と国家保安法の廃止、在韓米軍の撤収などを要求した。
金日成主席の死後、金正日総書記は1997年に「高麗民主連邦共和国建国方案」を「祖国統一3大憲章」の一つとした。祖国統一3大憲章とは金日成主席が提示した「祖国統一3大原則(自主、平和、民族大団結)」「高麗民主連邦共和国建国方案」「全民族大団結10大綱領」を意味する。金正日総書記の死後、金正恩総書記も2016年の第7次党大会で「統一路線は偉大な首領様が表明された祖国統一3大憲章に全面的に具現されている」としてこれを「一貫して握り統一の未来を切り開かねばならない」と主張していた。
ところが金正恩総書記は昨年12月末の党全員会議で「南北はもはや同族ではない」「核武力を動員した南朝鮮全領土平定」「吸収統一を国策とした大韓民国のやつらとはいつまでたっても統一は実現しない」などと指摘した。その後1月15日の最高人民会議では「大韓民国は不変の主敵」とした上で「憲法に明記された『自主・平和統一・民族大団結』の表現も削除すべきだ」と述べた。金日成主席の時代から続く祖国統一3大原則を正式に破棄したのだ。
キム・ミンソ記者