韓国与党内紛の火種「金建希夫人のブランド品授受疑惑」をファクトチェック

隠しカメラの罠にかかったのは事実
請託禁止法の適用が争点

 昨年12月には国民権益委員会にも金夫人の請託禁止法違反に関する告発があった。同委は公職者本人に対しては職権による調査が可能だが、公職者の配偶者である金夫人に対する調査の強行は困難で、対応に苦慮しているとされる。

 尹大統領が金夫人の金品授受を知っていながら届け出ていなかった場合は、法律上は請託禁止法違反で3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金に処されることがあり得る。尹大統領を巡っては「職務との関連性」に加え、「認知していたかどうか」が争点だ。しかし、捜査で請託禁止法違反の疑いがあるとされても、大統領は憲法上内乱・外国為替に関する罪以外の犯罪に対して刑事訴追されることはない。

③取材手法に法的問題はないか

 映像を公開したソウルの声は、取材工作を認めながらも、「相手を罠にはめる取材の危険性や非倫理性よりも国民の知る権利が大きければ認められる」という立場だ。しかし、請託禁止法、通信秘密保護法など現行法への違反だけでなく、言論倫理違反に当たるのではないかと論議を呼んでいる。金夫人にポーチを渡した崔牧師は請託禁止法違反で3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金に処される可能性がある。ポーチの授受過程を「盗撮」して公開したソウルの声は通信秘密保護法違反などが適用される可能性もある。国家人権委員会には今回の事件に関連し、「違法な撮影は人権侵害に当たる」という決定を下すよう求める陳情があった。

④問題のポーチの所在

 問題のポーチは「返却対象」に分類され、包装も開かないまま、大統領室の倉庫に保管されているという。しかし、大統領室はいつかばんを倉庫に保管したかについて明らかにしていない。大統領記録物法に規定された「大統領への贈答物」は収集の上で大統領記録館に一括して移管することになっているが、大統領室はその過程で問題のポーチを公開することを計画しているという。

⑤ブランド品授受疑惑も「金建希特別検事法」の対象か

 金夫人のブランド品授受疑惑は、昨年12月28日に野党の主導で可決された「金建希特別検事法」とは無関係だ。これまで民主党は金夫人のブランド品をめぐる収賄疑惑も特別検事による捜査の対象になり得るという趣旨で発言してきた。しかし、国会を通過した特別検事法は2009年から12年にかけての「ドイツモータース株価操作事件」を捜査対象として明示している。

周希姸(チュ・ヒヨン)記者、パン・グクリョル記者

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