【ソウル聯合ニュース】朝鮮半島統一に関する韓国政府の「民族共同体統一案」を見直して、新たな統一ビジョン「新統一未来構想」をまとめる作業が遅れている。民族共同体統一案が政府の公式見解とされてから今年で30年を迎えるのに合わせ、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は新構想を昨年末までに策定する計画だったが、構想発表のめども立っていないことが23日、分かった。
統一部は昨年1月、新統一未来構想を同年末までにまとめる方針を示した。統一部長官を委員長とする統一未来企画委員会を立ち上げ、5月には構想の草案を議論した。
それから8カ月が経過した。同部当局者は23日、記者団の質問に「政府は民族共同体統一案30周年を迎え多様な発展策を検討しているが、現時点で方向性や内容は決まっていない」と答えた。新構想を発表する形式や時期なども未定だ。
当局者は「尹錫悦政権の発足後に南北関係の状況が変化しており、それが(新構想策定の)議論に影響を及ぼすこともある」と言及した。
南北関係が昨年さらに悪化したことが背景にあるようだ。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)は昨年末、南北関係を「敵対的な二つの国家」と見なした。北朝鮮は対韓国事業を担う機関を整理し、メディアと宣伝物からは「同族」「わが民族同士」「平和統一」といった表現を削除するなど、南北関係の転換を進めている。
こうした状況から、統一未来企画委員会としてはさらなる議論、検討が必要となった。
民族共同体統一案は、盧泰愚(ノ・テウ)政権の案を柱に、1994年に金泳三(キム・ヨンサム)政権で正式な統一見解に位置付けられた。