自由・民主を守った台湾総統選、韓国総選挙に与える意味【寄稿】

 中国内外の戦略家らは、中国が既に長い間、世界各国を狙い、時にはひそかに、時には露骨に、さまざまな方式の政治戦(political warfare)繰り広げてきたと指摘する。政治戦は戦わずして敵を無力化する静かな戦争だ。ゲリラ戦術で中国大陸を奪取した中国共産党の指導部は政治戦の達人だ。中国は世界制覇の野心を抱き、相手国の財界、法曹界、学界、マスコミ、サイバー分野の随所に入り込み、ねつ造や陰湿な攻撃、扇動、脅迫、懐柔、報復などあらゆる手段で所期の目的を達成する。中国式の超限戦(unrestricted warfare)、つまり通常の軍事作戦の限界を超える制限なき戦争だ。

 2024年に選挙を行う40億人は超限戦の標的になる可能性がある。表現の自由と価値の多様性を保障する開かれた社会の選挙は、フェイクニュース、虚偽情報、扇動、中傷などさまざまな方式による全体主義的攻撃に脆弱だ。地政学的に韓国は中国と北朝鮮の攻撃に全面的にさらされている。2010年に北朝鮮の魚雷艇が韓国海軍の哨戒艦天安を撃沈した際、軍事テロの前でも世論は両極端に分かれた。野党は「戦争しようというのか」という一言で地方選挙で勝利し、北朝鮮はこっそりと免罪符を受けた。軍事作戦と心理戦が入り混じったハイブリッド脅威の実例だ。

 4月の韓国総選挙を控え、北朝鮮の挑発はさらに大胆になり、中国の超限戦はひときわ巧妙になりそうだ。情報革命の時代、一国の選挙はもはや一国の事件ではない。韓国総選挙は与野党の権力闘争であるだけでなく、国際秩序の再編過程でもある。台湾人は戦争の脅威に立ち向かって、命懸けで自由と民主を守った。台湾のように韓国も全体主義の脅威に苦しむ自由陣営の最前線だ。自由民主主義の国際的連帯を守ってこそ、北東アジアの真の平和が保障される。

宋在倫(ソン・ジェユン)カナダ・マクマスター大教授(歴史学)

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