Q3.研究内容はどこまで信じることができる?
新型コロナウイルスは細胞の培養過程で変異を起こすことが多い。構造が単純で外部の反応に脆弱(ぜいじゃく)なウイルスの特性のためだ。今回の研究でも、センザンコウから発見された野生のウイルスが細胞培養過程を経て変異を起こし、致死率の高い変異ウイルスに突然変異した可能性がある。韓国生命工学研究院のチョン・デギュン博士は「既存の新型コロナウイルスに感染したネズミたちも一部の実験ではすべて死んだケースがあるだけに、センザンコウの新型コロナ変異ウイルスに実験ネズミを感染させた時、100%死に至るということも十分にあり得ることだ」と語った。
Q4.ヒトへの感染は実際に起こり得る?
ヒトに新型コロナウイルスを感染させるACE2タンパク質を発現したネズミを使用しているので可能性はある。しかし、ACE2タンパク質はヒトを新型コロナウイルスに感染させる一つの要因に過ぎず、ACE2タンパク質があるからといって絶対に新型コロナウイルスに感染するわけではない。また、同じ新型コロナウイルスでも感染する動物ごとに症状や致死率が千差万別に現れ、感染自体しない場合の方が多い。何よりも実験過程と結果が研究チームの主張通りにきちんと設計されたのかどうかは現時点では確認不可能だ。
Q5.科学界はなぜ懸念している?
科学界は今回の論文に対して、生物安全基準や注意事項などが明確に記録されていないという点を指摘し、ウイルスが安全に処理されたかどうかを懸念している。チョン・デギュン博士は「ウイルスは常に実験者への感染などを通じて流出する恐れがあるため、各国で厳格な安全基準を設けている。どのような施設でどのように実験をし、ウイルスに感染した死体が適切に焼却されたのかどうかなどについて詳しく報告しなければならないが、今回の論文にはこのような内容が不十分だ」と説明した。変異ウイルスが適切に管理されていなければ、流出する可能性もあるということだ。
ファン・ギュラク記者、ユ・ジハン記者